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6 章 金属結合 復習と目的 ● 典型金属元素 ( アルカリ、アルカリ土類、 Al 他 ) 、 遷移元素 (金、銀、銅、鉄、 Cr, Mn , Ni 他)とその性質、 金属結合 の特性と金属物質の性質を概説する。 ●電子が結晶の中を動きやすい状態にあり、金属の種類によって柔らかさや融点に大きな幅がある。 ● Bi や Te のような 半金属 は金属と共有結合結晶の中間である。. 元素質量比. 太陽系:水素 70.7% He27.4% Li-U 1.9% 地殻. 元素( 典型元素 + 遷移元素 )
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6章 金属結合 復習と目的 ●典型金属元素(アルカリ、アルカリ土類、Al 他)、遷移元素(金、銀、銅、鉄、Cr, Mn, Ni 他)とその性質、金属結合の特性と金属物質の性質を概説する。 ●電子が結晶の中を動きやすい状態にあり、金属の種類によって柔らかさや融点に大きな幅がある。 ●BiやTeのような半金属は金属と共有結合結晶の中間である。
元素質量比 太陽系:水素70.7% He27.4% Li-U 1.9% 地殻
元素(典型元素+遷移元素) 遷移元素:「完全に満たされていない(閉殻していない)d軌道を持つ元素、あるいは完全に満たされていないd軌道を持ったイオンを生成する元素」 ●典型金属元素(典型元素の中の金属元素) 1族 アルカリ(Li, Na, K, Rb, Cs, Fr) 2族 アルカリ土類(Be, Mg, Ca, Sr, Ba, Ra) 12族 Zn (3d104s2), Cd(4d105s2), Hg(5d106s2) 13族 Al, Ga, In, Tl14族 Ge, Sn, Pb 15族 Bi 16族 Po 第12族元素(亜鉛族元素)は化学的性質が典型元素の金属に似ており、またイオン化してもd軌道が10電子で満たされ閉殻していることから日本では一般に典型元素に分類されるが、遷移元素に分類される例も多く見られる。
金属結合 金属原子Mはn個の電子を出し金属イオンMn+となり、放出された電子は自由電子として、結晶格子中を動き廻る。 金属結晶中 M → Mn+ + ne- - +
金属の特性 ●展性・延性 1gの金 2800m ●金属光沢 ●金属的伝導性 伝導度(s = 1/r r:比抵抗)の温度依存性 半導体・絶縁体、金属、超伝導 抵抗 • 金属 • 半導体~絶縁体 • 温度 • 超伝導体
アルカリ金属の特性 ●s軌道に一個の電子・・・+1価にイオン化 ●水と爆発的に反応し、水酸化物+H2+熱・・・水素爆発 アルカリ金属をオイル(灯油)中で保存 水酸化物・・・塩基性 ●金属塩の炎色反応・・・アルカリ金属やアルカリ土類金属、銅などの塩を炎の中に入れると各金属元素特有の色を示す。金属の定性分析や、花火の着色に利用される As Ca Li Cu B Na
アルカリ金属(alkali metal) Li(lithium) ●銀白色 柔らか 延性に劣る ●水との反応はアルカリ金属中最も穏やか ●酸素と反応 Li2O ●アルカリ金属中Liのみが窒素と反応・・赤黒色(Li3N) 3Li + N2→ 2Li3N ●リチウム電池: 酸化還元電位(-3.040V)が低く、原子量が小さいため、電池電極とすれば起電力が高くエネルギー密度の大きい電池ができる。通常3 V出力の一次電池(リチウム電池、負極に使用)、二次電池(リチウムイオン二次電池、リチウムイオンを使用)として利用される ●うつ病治療薬(最適治療量と中毒量が近い)
●最も軽い金属元素なので、地球的な長時間のうちに海水中と地殻上部を循環し続け、乾いた塩湖の底には必ず豊富なリチウム資源が存在する。量的には全く枯渇する心配はないが、単一産地で需要のほとんどを生産するという、偏在性(チリ)と独占的供給による、商業的な需要ギャップが懸念される。●最も軽い金属元素なので、地球的な長時間のうちに海水中と地殻上部を循環し続け、乾いた塩湖の底には必ず豊富なリチウム資源が存在する。量的には全く枯渇する心配はないが、単一産地で需要のほとんどを生産するという、偏在性(チリ)と独占的供給による、商業的な需要ギャップが懸念される。 ●現在、確認埋蔵量で一、二を争うボリビアの資源は全く開発されていない ●重要課題 海水中には2300億トンのリチウムが溶けており、事実上無限の埋蔵量を有する。海水リチウムを抽出するプラントが日本を中心に稼動しており、現状よりさらに低コストで採集できるようになれば、リチウムを国内自給できる可能性がある
Na(sodium) ●銀白色 柔らか 延性あり ●水との反応は爆発的 2Na + H2O →2NaOH + H2↑ ●酸素と反応 Na2O ●トンネル内の照明 ナトリウムランプ589nm オレンジ色 ●熱伝導率がよく、高温でも液体で存在するため、高速増殖炉の冷却材として用いられる(放水で大爆発を起こす) ●生体にとっては重要な電解質のひとつであり、ヒトではその大部分が細胞外液に分布している。神経細胞や心筋細胞などの電気的興奮性細胞の興奮には、細胞内外のナトリウムイオン濃度差が不可欠である(ナトリウムチャネル)。 ●ナトリウムイオンの過剰摂取は、高血圧の大きな原因 ナトリウムランプ
K(potassium) ●銀白色 柔らか 延性あり ● Li, Naより反応性が高い ●カリウムは人体で8番目もしくは9番目に多く含まれる元素であり、体重のおよそ0.2%を占める。カリウムは人体に不可欠の電解質であり、脳および神経などにおけるニューロンの情報伝達に重要な役割を果たしている(カリウムチャネル) ●硝酸カリウム(KNO3、硝石)は、火薬(黒色火薬)において酸化剤として働き、また肥料としても重要である ●シアン化カリウム(KCN、青酸カリ)は銅や貴金属(特に金や銀)と錯体を形成し、錯体が溶解し易いのを利用して、それらの金属の電鋳や電解めっき、金鉱山の採掘に用いられる。
Rb(rubidium) ●銀白色 柔らか 延性あり ● Li, Naより反応性が高い ●炭酸ルビジウム (Rb2CO3) を原料に混ぜたガラスは丈夫で電気絶縁性に優れ、ブラウン管用ガラスとして用いられる。 ●Rbは土壌中において非常に低濃度である反面、植物によって吸収されやすく、Kに似た挙動を示す。このため、トレーサとして既知濃度のRb水溶液を土壌に注入、一定期間後に植物体を収獲しRb濃度を測定することで、その時点における根の活性を推定できる(ルビジウムトレーサ法)。また、農作物害虫の生態調査における標識として用いられた事例もある。
Cs(cesium) ●Cs: 銀黄色 柔らか 融点28℃、常温で液体の金属 ● Li, Naより反応性が高い ●Uの代表的な核分裂生成物として、90Srと共に135Cs、137Csが、また原子炉内の反応により134Csが生成される。この中で137Csは比較的多量に発生しb線を出し半減期も約30年と長く、放射性Cs(放射性同位体)として、核兵器の使用による死の灰(黒い雨)や原発事故時の「放射能の雨」などの放射性降下物として環境中の存在や残留が問題となる。●133Cs(安定同位体)の発光スペクトルの比振動数が国際単位系の秒の定義に選ばれ、以降原子時計として使われる。 ●重要課題:放射性Cs+の吸着剤の開発(吸脱着可能な) Fr(francium) ●安定同位体は存在せず、最も半減期が長い223Frでも22分しかないため、化学的、物理的性質は良く分かっていないが、原子価は+1価である事が確認されている。
アルカリ土類金属(alkaline-earth metal) ●+2価の陽イオン ●アルカリ金属より穏やかに水や酸素と反応する Be(beryllium) 有毒 ●緑柱石などの鉱物から産出。これらの鉱物はアクアマリンやエメラルドなどの宝石にも用いられる. ●硬く、常温では脆いが、高温になると展延性が増す。両性で酸にもアルカリにも溶解する。 Be(OH)2+ 2HCl→BeCl2+2H2O, Be(OH)2+2NaOH→Na2Be(OH)4 ●合金の硬化剤(Be-Cu)、熱的安定性、高い熱伝導率、金属としては比較的低い密度で、高速航空機、ミサイル、宇宙船、通信衛星などの軍事産業や航空宇宙産業において構造部材として用いられる。●低密度かつ原子量が小さいためX線やその他電離放射線に対して透過性を示し、X線透過窓として用いられる。
Mg(magnesium) ●ヒトを含む動物や植物の代表的なミネラル(必須元素)であり、植物の光合成に必要なクロロフィルで配位結合の中心 ●酸素と結合しやすく強い還元作用を持つ。空気中で放置すると、表面が酸化され灰色を帯びる。二酸化炭素、水、亜硫酸とも反応するが、不動態皮膜となるためアルカリ金属やCaと異なり腐食は進行せず、鉱油中で保存する必要はない ●空気中で加熱すると炎と強い光を発して燃焼する。 さらにN2やCO2中でも燃焼し、それぞれ窒化マグネシウム (Mg3N2)、酸化マグネシウム(MgO)となる CO2 + 2Mg → 2MgO + C ●熱水や塩水、薄い酸には容易に溶解し水素を発生する。 2H2O + Mg → Mg(OH)2 + H2 ●非常に軽い軽合金材料、Al, Cuとの合金:ジュラルミン(金属疲労に弱く、腐食しやすいのが欠点) ●潮のにがり:MgCl2, MgSO4
Ca(calcium) ●非常に柔らかい金属, 空気中で放置すると酸素・水・二酸化炭素と反応して腐食するため、鉱油中で保存。 2Ca + O2 → 2CaO(生石灰)、 Ca + 2H2O → Ca(OH)2+ H2 水酸化カルシウム(消石灰)溶液を石灰水という。石灰水に二酸化炭素を通すと炭酸カルシウムが沈殿するが、加熱すると元に戻る。 Ca(OH)2+ CO2 → CaCO3+ H2O ●セメント・モルタルなど、建設・建築用資材として多用 ●骨や歯の成分:リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2, CaCO3) ●炭化カルシウム(Ca2+(CC)2-、カルシウムカーバイド) アセチレンランプ CaC2+ 2 H2O → C2H2(アセチレン) + Ca(OH)2
Sr(strontium), Ba(barium), Ra(radium)有毒 ●Sr:軟らかく銀白色のアルカリ土類金属で、化学反応性が高い。空気にさらされると、表面が黄味を帯びる。花火や発煙筒の炎の赤い色の発生には塩化ストロンチウムなどが用いられる。人工放射性90Srは骨に吸収され、放射線(b)を長期間出し続けるので危険。 ●Ba:銀白色の軟らかい金属。Ca, Srよりも反応性が高い。炭酸バリウムが殺鼠剤として用いられるようにBa2+イオンは毒性を有している。硫酸塩(X線造影剤)は水に対する溶解度が非常に低いために問題とならないが、その他のバリウム化合物の用途は特定の分野に見られるのみで、人体に危険 ●Ra:ラジウムそのものの崩壊ではアルファ線しか放出されないが、その後の娘核種の崩壊でベータ線やガンマ線なども放出される(危険)
12族(亜鉛族Zn,Cd, Hg) 2価陽イオン(2族に似る) ●亜鉛(zinc): 青味を帯びた銀白色の金属。湿った空気中で錆び易く、灰白色の塩基性炭酸亜鉛で覆われる。トタン:鉄板に亜鉛メッキ、真鍮:Cuとの合金 生体では鉄の次に多い必須微量元素で細胞分裂を活性化(酵素の構造形成および維持に必須で、それらの酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など多岐にわたる)。 ●カドミウム(cadmium):青色を帯びた展性のある銀白色金属。ニッケル・カドミウム電池(ニッカド電池)。中性子を吸収する性質から、原子炉の制御用材料。 毒性:人体にとって有害(腎臓機能に障害が生じ、それにより骨が侵される)で、Cdによる環境汚染で発生したイタイイタイ病(富山県)が問題となった。Cdとその化合物は発癌性がある
●水銀(mercury、汞): 常温常圧で液体の金属、比重13.6(重い)、温度計、水銀灯、蛍光灯、アマルガム(白金、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンとは合金を形成しないので、水銀の保存には鉄の容器が用いられる) 歯の治療:銀やPdのアマルガム 大仏:金アマルガムを塗り、加熱して金メッキとする 毒性:古代においては、水銀や辰砂(鮮血色をしている)はその特性や外見から不死の薬として珍重されてきた。特に中国の皇帝に愛用され、不老不死の薬、「仙丹」の原料と信じられていた(錬丹術)。それが日本に伝わり飛鳥時代の持統天皇も若さと美しさを保つために飲んでいたとされる。しかし毒を飲んでいるに等しく、始皇帝を始め多くの権力者が命を落としたといわれている。中世期以降、水銀は毒として認知されるようになった。メチル水銀Me2Hgの中枢神経系(脳)に対する毒性は強力(熊本 水俣病、新潟 第2水俣病)
13族(ホウ素族)B以外は金属(Al, Ga, In, Tl) ●Al(aluminum, aluminium)銀白色金属。良い熱伝導性・電気伝導性を持ち、軽量(比重2.7)で加工性が良 く、広く用いられる。空気中では表面にできた Al2O3酸化膜により内部が保護される(不動態、 アルマイト)。鉱物のボーキサイトを水酸化ナトリ ウムで処理し、アルミナ(酸化アルミニウム)を取 り出した後、氷晶石(ヘキサフルオロアルミン酸ナ トリウム、Na3AlF6)と共に溶融し電気分解を行う。 Alを作るには大量の電力が消費されることから 「電気の缶詰」と呼ばれることもある。粉末Alは可 燃物であり、粉塵爆発を起こす。スペースシャトル の固体燃料補助ロケットでも燃料として使用された。 ルビーやサファイアはAl2O3に少量の不純物を含む 宝石 ボーキサイト アルミニウム ルビー スターサファイア
●Ga(garium)青みがかった金属光沢がある柔らかな金属。融点は 29.8 ℃と低いが、一方、沸点は 2403 ℃(異なる実験値あり)と非常に高い。水と同じように、液体の方が固体よりも体積が小さい異常液体である。Gaを高温でアンモニアと反応させると青色発光ダイオードの素材として知られる窒化ガリウム GaNが得られる。P, As, Sbとも反応して二元化合物GaP、GaAs、GaSbを形成する。これらの化合物は閃亜鉛鉱型構造を取り、GaAsは半導体材料、GaPは発光ダイオードの材料として利用される。 ●In(indium)銀白色の柔らかい金属。常温では空気中で安定である。酸には溶けるが、塩基や水とは反応しない。ITO (Indium Tin Oxide) と略称される酸化インジウムスズは、導電性があるのに透明であることから液晶やプラズマといったフラットパネルディスプレイの電極(透明導電膜)に使われている。 ●重要課題:Inを用いない透明電極の開発
●Tl(thallium)銀白色の柔らかい金属 猛毒 重金属の中でも特に強い毒性を持ち、摂取すると神経障害を起こす。強力な脱毛作用。重い物質の比重を測定するのに蟻酸タリウムがもちいられていた。 KGB は、放射性Tlを毒殺用の毒物として使用していた。有名な例では、元 KGB 工作員のニコライ・ホフロフ が1957年に放射性Tlを盛られ、瀕死の重態となったが一命を取り留めた例がある(ホフロフは2007年に死去)。これは、初めて公式に確認された KGB の放射性元素による殺人(未遂)事件である(二番目が2006年にPoを盛られて死亡したアレクサンドル・リトヴィネンコ)。
遷移元素の性質 1/10 • 遷移元素:特有の色を示すイオン、磁気 • ①超ウラン元素 • ②アクチノイド + ランタノイド • ③ 主遷移元素 Cr6+ Cr3+ Ni2+ Cu2+ Mn7+ Co2+ Co(NO3)2 (赤)、K2Cr2O7 (橙)、K2CrO4 (黄)、NiCl2 (緑)、CuSO4 (青)、KMnO4 (紫)
緑:気体、赤:液体、黒:固体 カルコゲン:第16族元素の総称(酸素を除く場合もある)
超ウラン元素:原子番号が1~92の元素は、4つの元素(43Te テクネチウム、61Pmプロメチウム、85Atアスタチン、87Frフランシウム)を除いて、自然界には比較的豊富に存在する。 • ●地球上に安定に存在する元素は、ほぼ原子番号92のウランまでで、それより大きな元素は原子炉などで人工的に作成(放射性元素) • 核分裂と核融合 • ●超ウラン元素は核分裂により安定な元素(質量数約60の鉄同位体)になる。 • ●小さな原子を融合して大きな原子にすることで核融合エネルギーが得られる
3族(Sc, Y, ランタノイド(15元素)、アクチノイド(15元素)) • Sc,Y, ランタノイドはレアメタル • ●スカンジウムSc:比較的希少な金属。ヨウ化スカンジウム ScI3 をメタルハライドランプに使用してより強い光を与える。 • ●イットリウムY:軟らかく銀光沢をもつ金属。蛍光体に使われ、赤色蛍光体はテレビのブラウン管ディスプレイやLEDに使われている。化合物は人間の肺に害をおよぼす。イットリウム・バリウム・銅酸化物 (YBa2Cu3O7, YBCO, 1-2-3) は1987年に開発された超伝導体(転移温度約93 K)である。Fe, Coとの合金は永久磁石 • ●ランタノイド:磁性体、半導体、蛍光剤、レーザー発振源 • ランタノイド収縮:原子半径が原子番号とともに減少 希土類元素
3族(Sc, Y, ランタノイド(15元素)、アクチノイド(15元素)) • つづき • ●アクチノイド: • U: 235U(0.7% 原子炉の燃料)、238U(99.3%):6フッ化ウラン(UF6)の気体を繰り返し遠心分離で濃縮し、235Uの含量を数%にし、燃料とする • Pu: 239Puは238Uと原子炉からの中性子の反応で得られ、高速増殖炉の燃料となる。
4族(チタンTi, ジルコニウムZr, ハフニウムHf) • 全てレアメタル • ●Ti: 地殻の成分として9番目に多い元素で、遷移元素としては鉄に次ぐ。精錬が難しい。軽く、強く耐食性に優れる。金属疲労が起こりにくい。航空機、メガネのツル。酸化チタン(TiO2) 白色顔料、光触媒。Niとの合金:形状記憶合金 • ●Zr:銀白色の金属。常温で酸、アルカリに対して安定。耐食性があり、空気中では酸化被膜ができ内部が侵されにくくなる。中性子と反応しないので原子炉構造材。ZrO2はダイヤモンドに次いで硬い物質(モース硬度 ダイヤ 10、ZrO28.5)で、屈折率がダイヤに近くダイヤの代替品、また、白色顔料などに使われている他、圧電素子、コンデンサー、ガラス、差し歯や歯のブリッジなど、あるいは陽極酸化によって発色する特性を活かして宝飾品などに使われている • ●Hf: 中性子を吸収するので原子炉の中性子制御剤
旧モース硬度と修正モース硬度 滑石 ダイヤモンド 石英 コランダム(ルビー、サファイア) トパーズ 11ジルコニア 13炭化ケイ素 14炭化ホウ素
5族(ヴァナジウムV, ニオブNb, タンタルTa)全てレアメタル • ●V: 高硬度合金、産出国は南アフリカ・中国・ロシア・アメリカで90%超を占める。Vは様々な生物(比較的単純な生物が多い)から検出され、乾燥重量で100ppmを超える生物も多数ある。また、特異的に濃縮する生物も何種か知られ、石油中に多く含まれる原因とも考えられている。 • ●Nb: 光触媒機能が酸化ニオブやニオブ酸塩に見られ、層状酸化物のナノシートを用いた触媒や吸着機能の研究が進められている。Nb3Ti、Nb3Snなどは超伝導材料として、MRI装置で普及している。全埋蔵量の90%以上がブラジル。 • ●Ta:タンタルコンデンサは他種コンデンサに比べ小型で、漏れ電流が少なく、安定度が良く、パソコンや携帯電話など小さなエレクトロニクス製品に多数使用されている。人体に無害で、人工骨や歯のインプラント(フィクスチャー)の材料に使われ。埋蔵量がTaの100倍のNbを代替とする研究がすすめられている。
6族(クロムCr, モリブデンMo, タングステンW) 全てレアメタル • ●Cr:硬くさびにくい(不動態)のでクロムメッキ、秦の始皇帝の兵馬傭坑の青銅剣もクロムメッキが施されていた。鉄とNiと10.5 %以上のCrを含む合金はステンレス鋼。毒性:6価Cr化合物は極めて毒性が高い、4価Crは発がん性。ステンレス中のCrや3価Crは無毒。産出地に偏りがある。 • ●Mo:北南米で世界の過半数。生体の必須元素。尿酸の生成、造血作用、体内の銅の排泄。地球上の窒素固定量の70 %以上は、Moが関与(酵素ニトロゲナーゼ)。 • ●W:最高融点(3380℃)、フィラメント、タングステン合金や炭化タングステンは非常に硬度が高いため、高級な切削用工具、金との比重(19.3)が近いことから、金の延べ板の偽造。中国が世界の産出量の83.7%、次いでロシア連邦、カナダ、オーストリアなど。
7族(マンガンMn, テクネチウムTc, レニウムRe)Mn,Reはレアメタル • ●Mn:MnO2は電池正極(マンガン乾電池、アルカリ乾電池、リチウム電池)、MnZn磁性材料、人体の必須元素。骨の形成や代謝。過剰に曝露されるとマンガン中毒。強い酸素吸着作用。大陸棚にマンガン団塊。ウクライナ:33% 、インド:22% 、豪州:16%、中国:9% • ●Tc:天然には存在しない。238Uの自発核分裂により生じ、生成量は少ない。全ての同位体が放射性。β線を放出せず適量のγ線のみを放つ 99mTc の特性を活かし核医学:骨・腎臓・肺・甲状腺・肝臓・脾臓など身体各部に対するシンチグラム。個々の同位体の準安定同位体は “m“ をつけて表す • ●Re:単体で最も硬い金属。チリ、ペルー、アメリカ合衆国とカザフスタンのみから生産。択捉島でほぼ純粋な硫化レニウム(IV)(ReS2) が発見されている。W-Re合金は航空宇宙用
8族(Fe, ルテニウムRu, オスミウムOs) • ●Fe:酸化鉄を炭素で還元して得る。炭素量2-4.5%を鋳鉄(硬くてもろい、鋳物)、2%以下を鋼鉄(柔軟、刃物)。焼き入れ(加熱急冷)。構造材、磁性材、ヘモグロビン • ●Ru:有機化学の触媒、Osとの合金が、万年筆などのペン先(ニブポイント) • ●Os:比重(22.57)は全元素中最大。粉末は空気中に放置または加熱すると猛毒の酸化オスミウム(8価OsO4)を容易に生じる。日本では北海道に多く産する。
9族(コバルトCo, ロジウムRh, イリジウムIr)Coはレアメタル • ●Co:強磁性体(磁気記録媒体)、青い磁器の顔料、 • コンゴ:49% 、豪州:19%、キューバ:14%、その他:8%、 • Ni・Cr・Mo・W、あるいはTaやNbを添加したCo合金は高温でも磨耗し難く、腐食にも強く、ガスタービンやジェットエンジンなど、高温で高い負荷が生ずる装置などに用いられ。Co-Cr-Mo合金とCo-Cr-W-Ni合金は腐食しにくいため歯科医療や外科手術などでも使われている。近年では飛躍的に進歩したものとして、Ni-Co-Mo鋼がある。 • ビタミンB12に含まれる。
9族(コバルトCo, ロジウムRh, イリジウムIr)Coはレアメタル • ●Rh:排ガス制御の触媒((Pt-Pd-Rh・・3元触媒)、プラチナとの合金は、坩堝や熱電対に利用される。有機合成触媒 • ●Ir:Ptとの合金は硬度が高く、キログラム原器、メートル原器の材料。耐熱性に優れ,工業用るつぼや自動車の点火プラグの電極、耐食性・耐摩耗性に優れ,高級万年筆のペン先の材料。 三元触媒(さんげんしょくばい、Three-Way Catalyst)は、ガソリン車の排ガス中の有害成分を還元・酸化によって浄化する装置。排気管の途中に設けられている。3種類の物質を同時に浄化することからこの名称が付けられた。 ①燃え残りの炭化水素を燃焼→CO2+H2O ②一酸化炭素→二酸化炭素 ③NOx→N2+O2
10族(ニッケルNi, パラジウムPd, 白金Pt) 全てレアメタル • ●Ni: 微粒子状金属粉末はH2、N2を吸蔵し水素付加反応を活性化させる。融解状態でもこれらの気体を吸収し、凝固時にその大部分を放出するため表面が巣穴になりやすい。鉄と同様に融解状態で炭素を6.25%まで溶解し、凝固するとグラファイトを析出する。白銅貨:Cuとの合金。TiとNiの1:1の合金は最も一般的な形状記憶合金。ニッケル・カドミウム蓄電池。ロシア19%、オーストラリア14%、インドネシア12%、カナダ10% • ●Pd: 自己体積の935倍のH2を吸収し、水素吸蔵合金として利用。排気ガス浄化用の触媒(三元触媒Pt-Pd-Rh)。ロシア44%、南アフリカ共和国40%、カナダ6%、アメリカ合衆国5%
10族(ニッケルNi, パラジウムPd, 白金Pt) 全てレアメタル • つづき • ●Pt:化学的に非常に安定で、装飾品に利用。触媒としても自動車の排気ガスの浄化(3元触媒)をはじめ多方面で使用されている。酸に対して強い耐食性を示し、金と同じく王水以外には溶けない。シスプラチン:抗がん剤、南ア74.8% • 古代エジプト第18王朝時代にファラオの装身具としてわずかながら利用。現存する最古の白金製品は、ルーブル美術館収蔵の、通称「テーベの小箱」(紀元前720年から紀元前659年頃)。10世紀頃には、南米でも装身具として利用されていた。これは純度80 %以上もあるもので、当時すでに高度な精錬技術があったことを示す。スペイン人による南米への侵略の際に、当時ヨーロッパで珍重されていた銀と勘違いされて略奪され持ち帰られた。しかし、銀よりも融点が高い白金は銀用の加工設備では溶かすことができず、大量に廃棄された
●これまで人類によって産出された白金の総量は約4,000トン、体積にして約200m3(一辺が約6メートルの立方体)。稀少な貴金属、入手しにくい。主な産出国は南ア共和国(74.8%)、ロシア(16.8%)である。南アに偏在。レアメタルのなかでも特に稀少で、地殻1トンあたり0.001 gの産出である。 ●日本でも僅かであるが埋蔵されていることが確認されている。北海道の天塩川、石狩川の川砂中、新潟県で発見されている。蛇紋岩地帯を流れ る河川から採掘。 ●蛇紋岩は風化作用を受け やすく、もろくて崩れやすい 性質がある。そのため、蛇 紋岩で形成された山岳(例 えば越後山脈の谷川岳や 至仏山)などでは、滑落 事故が起こりやすい。
11族(Cu, Ag, Au) • ●Cu: 赤い柔らかな金属。殺菌力ある。導電性が高い。 • 銅酸化物高温超伝導体、ブロンズ:Snとの合金、真鍮:Znとの合金、緑青:O2、CO2、水が銅と反応することにより生成する結晶性錆(無害)。2Cu + O2+ CO2+ H2O → CuCO3・Cu(OH)2 • ●Ag: 銀白色、最高の導電性、Sと反応し黒色化(Ag2S) • 銀イオンは強い殺菌効果を持つ(塩素殺菌が行いづらい水でも、効果的に殺菌できる)。写真の感光剤(AgBr, AgIなど) • ●Au:展性・延性に優れ、最も薄くのばすことができる金属、1 gで数平方メートルまでの金箔、長さでは3000mまで。熱伝導、電気伝導ともに優れ、空気に浸食されず、熱、湿気、酸素、その他ほとんどの化学的腐食に対して非常に強い。ハロゲンは金と反応を起こし、王水やヨードチンキは金を溶かすことができる。酸素の存在下シアン化物の水溶液に錯体を形成して溶解する。 • 4 Au + 8 NaCN + O2+ 2 H2O → 4 Na[Au(CN)2] + 4 NaOH
以下の5枚は、金属の毒性に関する話(化学1ですでに紹介済み)以下の5枚は、金属の毒性に関する話(化学1ですでに紹介済み) 毒性金属 ●生体系に含まれる遷移金属として、Fe, Zn, Mn, Cuなどがあり、足りないと甚大な欠乏症を起こすが、Zn, Mn, Cuの過剰症も甚大な病気を引き起こす。他に、d電子を持つ元素(21番元素Sc以降)で毒性のない、または弱い金属元素として、Ti, Ga、Ge(GeO2過剰摂取での死亡例ある)、Zr, Nb, Mo, Tc(シンチグラムに用いられる放射性元素), Ru, Rh, Pd, Cs, Hf, Ta, Re, Ir, Pt, Au, Bi(整腸剤)が86番元素Rnまである(希土類元素(ランタノイド)の生体との関連性は詳しく検討されていないので除く)。
●水銀: 液体の金属という独特の特質をもつ水銀は、重いのに蒸発しやすく、他の金属とすぐ化合(アマルガム)する。この性質を利用して、昔、金の精錬にアマルガム法(混汞法)が用いられた。しかし、水銀蒸気の吸入、水銀(Hg2+)塩の嚥下は極めて危険で、2価金属が体内の硫黄と結合して体外への排出が困難となり長期間の悪質な毒性を示す。特に、水に溶けず油脂に溶ける有機水銀は呼吸器、腸、皮膚から体内に吸収され、あらゆる細胞に侵入し、脳の神経細胞を犯すと脳・運動障害を起こす(水俣病)。マーキュロクロムは、水銀を含む赤色色素で、毒性が少なく、深達性の消毒薬である。●水銀: 液体の金属という独特の特質をもつ水銀は、重いのに蒸発しやすく、他の金属とすぐ化合(アマルガム)する。この性質を利用して、昔、金の精錬にアマルガム法(混汞法)が用いられた。しかし、水銀蒸気の吸入、水銀(Hg2+)塩の嚥下は極めて危険で、2価金属が体内の硫黄と結合して体外への排出が困難となり長期間の悪質な毒性を示す。特に、水に溶けず油脂に溶ける有機水銀は呼吸器、腸、皮膚から体内に吸収され、あらゆる細胞に侵入し、脳の神経細胞を犯すと脳・運動障害を起こす(水俣病)。マーキュロクロムは、水銀を含む赤色色素で、毒性が少なく、深達性の消毒薬である。 カドミウム:イタイイタイ病として知られ、腎臓障害がおこり、骨からカルシウムが失われ、骨折、骨の変形、全身の激痛などを起こす。鉛:歌舞伎役者の鉛毒、白粉による子供の鉛毒性脳症、鉛管や鉛の食器を用いたことに起因する流産、死産、不妊、精神錯乱は往時のことで[ローマ帝国における鉛中毒:ローマ帝国は水道管に鉛が使われていたため、慢性的に鉛中毒者を発生させ滅亡の遠因になったという説があるが、現在では正規の学説としては取り扱われてはいない。主な理由は二つある。一つは、水道内部に分厚く沈着したカルシウム炭酸塩が鉛管の内側にも付着して、鉛と流水を効果的に隔離したこと。
もう一つは、ローマ水道における鉛管部分はごくわずかであり(総延長のほとんどは石造だった)、また現代と違ってローマの水道には蛇口の栓というものがなく常時垂れ流しだったため、鉛の溶出が問題になるほど長時間に渡って水と鉛が接触することはなかったことである。だが、古代ローマではサパと呼ばれる酢酸鉛を主成分とした甘味料が多く摂取されていたこと、鉛容器での葡萄酒の飲酒により鉛中毒が多く発生したと考えられている。なお、この時代からすでに鉱山などの事例により、鉛が健康被害をもたらすということは知られていた]、最近でも、アンチノック剤のテトラエチル鉛を含む有鉛ガソリン、鉛化合物を含む絵の具など危険な鉛化合物は多い。もう一つは、ローマ水道における鉛管部分はごくわずかであり(総延長のほとんどは石造だった)、また現代と違ってローマの水道には蛇口の栓というものがなく常時垂れ流しだったため、鉛の溶出が問題になるほど長時間に渡って水と鉛が接触することはなかったことである。だが、古代ローマではサパと呼ばれる酢酸鉛を主成分とした甘味料が多く摂取されていたこと、鉛容器での葡萄酒の飲酒により鉛中毒が多く発生したと考えられている。なお、この時代からすでに鉱山などの事例により、鉛が健康被害をもたらすということは知られていた]、最近でも、アンチノック剤のテトラエチル鉛を含む有鉛ガソリン、鉛化合物を含む絵の具など危険な鉛化合物は多い。 ヒ素:砒素化合物はほとんどが有毒である。砒素は発がん性とともに、体内でタンパク質と結合し酵素機能を阻害し、細胞を犯す。昔から毒殺用に用いられたが(亜ヒ酸)、検出は容易で、すぐ発見される(石見銀山猫いらず)。ダイオード、レーザなどに多用されているガリ砒素半導体Ga-Asが環境汚染を引き起こすことは明白であり、使用済み携帯電話の徹底した回収が必須である。ただし、無水亜ヒ酸は急性骨髄白血病の、また有機ヒ素化合物サルバルサンは梅毒(今は使われていない)の医薬品である。
クロム:著者の学生時代にはガラス器具の洗浄にクロム酸混液(濃硫酸+・dクロム酸カリウム溶液)を用いていたが、六価クロムは強烈な酸化剤であり、気化しやすく、消化管や肺、皮膚から体内に容易に吸収され、細胞組織を酸化し、潰瘍、鼻中隔穿孔、肺癌を起こす。昔はクロムメッキ、皮なめし、染料、顔料、防腐剤、電池などに多用された。クロム:著者の学生時代にはガラス器具の洗浄にクロム酸混液(濃硫酸+・dクロム酸カリウム溶液)を用いていたが、六価クロムは強烈な酸化剤であり、気化しやすく、消化管や肺、皮膚から体内に容易に吸収され、細胞組織を酸化し、潰瘍、鼻中隔穿孔、肺癌を起こす。昔はクロムメッキ、皮なめし、染料、顔料、防腐剤、電池などに多用された。 • セレン:セレンは微量レベルであれば人体にとって必須元素でああるが、必要レベルの倍程度以上で毒性があり摂取し過ぎると危 • 険である。セレンは欠乏量と中毒量の間の適正量の幅が非常に狭い。セレンを含む牧草による家畜の障害、セレンを含む井戸水よる障害は良く知られる。下痢、胃腸障害、脱毛、爪の変形、疲労感、焦燥感、末梢神経障害、心筋梗塞、急性の呼吸困難、腎不全など。過剰な含有量のダイエット食品を摂食し、健康被害を生じた例がある。しかし、水銀の毒性を低下させる働きもある。
タリウム:可溶性タリウム化合物(時々、新聞紙面を賑わす)は有毒である。その一つである蟻酸タリウムの水溶液は、比重の大きな結晶の比重を測定するために用いられたが、後処理が困難なため使用されなくなった。また、タリウムを含む高温超伝導体や金属フタロシアニンの作成においてもタリウム蒸気にさらされないよう注意を要する。タリウム:可溶性タリウム化合物(時々、新聞紙面を賑わす)は有毒である。その一つである蟻酸タリウムの水溶液は、比重の大きな結晶の比重を測定するために用いられたが、後処理が困難なため使用されなくなった。また、タリウムを含む高温超伝導体や金属フタロシアニンの作成においてもタリウム蒸気にさらされないよう注意を要する。 • このように、重金属の多くは強い化学反応性を示す。これは不対d電子ラジカルに起因し、毒性の原因でもある。 • 重金属ではない毒性金属として、原子番号4のベリリウムがある。ベリリウムはアルミニウムより軽く、融点は高く、極めて硬く、強 • い金属である。また、熱伝導度は鋼の7倍で、比熱は金属中最も大きいので、航空、宇宙用に期待されている。他の金属と合金をつくり、それに硬さ、強さ、耐熱性、耐食性を付加する。x線管の窓、宇宙船の船体や底の部分、軽合金の成分であり、銅との合金は高圧用セルの素材として重要である。この優れた金属の欠陥は、硬く脆く加工が困難であることと、極めて毒性の強いことで、潰瘍、腫れ物、中毒症を起こす。 • 多方面で利用されるアルミニウムも、脳障害を起こすことが疑われている。