360 likes | 539 Views
D : 赤色巨星のスペクトル分類. D.1.可視スペクトルの概観. O5V Te=42000 log g =4.5 (AQ :2.5). λ =0.1 μ mでのライマン連続吸収によるフラックスのジャンプに注意。. B0V Te=30000K log g = 4. バルマージャンプ. O5Vと B0V の スペクトル線を比較すると. O5V. O型で見えたHeIIのラインがB型では消え、代わりに HeIのラインが強くなる。. サブタイプの分類には、 O型では He II 4541/He I 4471 のライン強度比が用いられる。
E N D
D.1.可視スペクトルの概観 O5V Te=42000 log g =4.5 (AQ:2.5) λ=0.1μmでのライマン連続吸収によるフラックスのジャンプに注意。
B0V Te=30000K log g = 4 バルマージャンプ
O5VとB0Vのスペクトル線を比較すると O5V O型で見えたHeIIのラインがB型では消え、代わりに HeIのラインが強くなる。 サブタイプの分類には、 O型では He II4541/He I 4471のライン強度比が用いられる。 HeIのラインはB2Vで最も強い。 B型の分類にはHeIと他の元素、Si II, Mg II などのライン強度が用いられる。 B型からA型にかけてバルマー線強度が強くなっていく。 B0V
A0V Te=10000K log g= 4 バルマージャンプ A型星ではHe I のラインは見えない。 バルマー線が強いのが特徴である。A3で 最も強い。 AからFに向かって 金属線が強くなる。 これらの特徴をA型の分類に使う。 山下、成合、乗本はCaI4226/MgII4481 などを基準に用いた。 1977, An atlas of representative stellar spectra
A6-8 V Te=8000K log g = 4 バルマー線は依然強いが、F型の特長はH線、K線が強いことである。 バルマー ジャンプ バルマーライン パッシェンライン K線 H線
G0V Te=6000 log g =3 Zsolar バルマー線は非常に弱くなり、金属線が強度、本数共に増す。分類にはバルマー線と金属線の強度比例えば、 Fe I 4143/Hδ, Ca I 4226/Hδ などが使われる。
Na D線 低温度星では外殻にs電子が一個だけの原子、イオンの基底状態からの吸収線(共鳴線)が特徴的である。 2P 項(term) S=1/2, L=1 (3p) 2P3/ 2準 位 (level) S=1/2,L=1,J=3/2 g=4 (3p) 2P1/ 2準 位 (level) S=1/2,L=1,J=1/2 g=2 D line (multiplet) 2S 項(term) S=1/2, L=0 (3s) 2S1/2準 位 (level) S=1/2,L=0,J=1/2 Na I の電子配列=(1s)2(2s)2(2p) 6 (3s) 第1励起状態 3p電子 ――> L=1, S=1/2, J=1/2, 2P1/2 ――> L=1, S=1/2, J=3/2, 2P3/2 基底状態 3s電子 ――> L=0, S=1/2, J=1/2 2S1/2 D1 line 5889 A D2 line 5895 A g=2
Ca II (4p) 2P3/2 (4p) 2P1/2 8542 8498 8662 (3d) 2D5/2 (3d) 2D3/2 3933 K線 3968 H線 7291 7323 (4s) 2S1/2 Ca II の電子配列 = (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (4s) 励起状態 外殻に4p電子 (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (4p) 2P 3d電子 (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (3d) 2D 基底状態 外殻に4s電子 (1s)2(2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (4s) 2S CaIItriplet
G5III Te=5000 log g =1 Zsolar
K5III Te=4000 log g =1 Zsolar K5型では TiOバンドが現れてくる。 長波長側にはCaIIトリプレットが強い吸収線を示す。
M2III Te=3500 log g =0 Zsolar M型星は強いTiOバンドが特徴である。
低メタル星との比較 M2III Te=3500 log g =1 Z=(1/30)Zsolar Z=Zsolar
矮星と巨星との比較 M2 Te=3500 Zsolar log g = 3.5 矮星 CaII Tripletの強度が、 巨星で強く、 矮星で弱い ことに注意 log g = 1 巨星
Ca II Triplet を使ったメタル量決定: 過去20年間の進歩と問題点Ca II Triplet を使ったメタル量決定: 過去20年間の進歩と問題点
Jones,J.T., Alloin,D.M.,Jones,B.J.T.1984 ApJ 283, 457-465 CaII triplet が巨星と矮星を区別するのに使える。 W(CaT)=W(8542)+W(8662) 矮星 卵:A型、 ◇:F型、 △:G型、 ○:K型、□:M型 巨星 ▲:G型、●:K型、■:M型 右図の直線からの残差はメタルと 相関することも注意された。
Armandroff,T.E., DaCosta,G.S.1991, AJ 101, 1329-1337 球状星団のメタル量とCaIITripletとの関係 W8542+W8662+0.619(V-V(HB)) はV-V(HB)=0でのW(CaT)である。 こうして、W(CaT)をメタル量とつなげるキャリブレーションができた。 しかし、古い種族のみ適用可。 星団毎には、光度が上がるとW(CaT)が増加している。 これは前に述べた重力効果。 しかし、ラインが上下に分かれるのはメタル効果。
Pont,F., Zinn,R., Gallart,C.,Hardy,E., Winnick,R.2004 AJ 127, 840-860 Fornax矮小楕円銀河のメタル量分布 星団 [Fe/H] 47 Tuc -0.71 NGC1851 ー1.29 M15 ー2.17 MIー(V-I)色等級図 ○ Fornax赤色巨星 ×M11(0.25 Gyr, [Fe/H]=0.10)
明るくて高メタルの星に対するW(CaT)と[Fe/H]の関係。明るくて高メタルの星に対するW(CaT)と[Fe/H]の関係。 ■ 球状星団 ☆ LMC平均 点線=若い種族のキャリブレーション。 左のキャリブレーションから決めたFornax赤色巨星の年齢ーメタル関係 点線はSFR=一定でのモデル
D.2.赤色巨星大気の化学組成 恒星大気の温度が低下してくると、まず電離エネルギーの高い原子、例えばヘリウムなどが中性化する。O型星で見られるHeIIのラインがB型ではHeIのみになるのはこのためである。温度がさらに低下すると、原子から分子への移行が始まる。K型からM型の恒星スペクトルは分子の吸収線が大変強い。 以下では分子平衡が恒星スペクトルに及ぼす影響を調べる。 D.2.1.分子平衡 A,B,Cという物質のあいだに下のような化学反応があるとする。 n・A+m・B=k・C この反応が化学平衡の状態にある時には、下の関係が成立する。 n・μA+m・μB=k・μC ここに、 μA、 μB、 μC、はA,B,Cの化学ポテンシャルである。 もう少し一般的に物質A1,A2、...の間に以下の反応が成り立つ時、 a1A1+a2A2+...=0 化学平衡の状態では次の式が成立する。 a1μ1+a2μ2+...=0
理想気体の化学ポテンシャルμは、 ここに、n=N/V= 数密度(個/cm3)、 nQ=(2πmkT/h2)3/2=量子密度(個/cm3)、 Z=Σexp (-E/kT)=内部状態分配関数 に上のμjの式を代入すると、 (jはj-番目の種類の粒子の意味。) (質量作用の法則) K=平衡定数
分子雲や晩期型星大気では分子の形成を考慮する必要がある。分子雲や晩期型星大気では分子の形成を考慮する必要がある。 A + B ⇔ C という分子形成を考えよう。 注意すべきは、この反応式は実際には起きていなくても構わない。 平衡を考える際には A, B, C の持つエネルギーの高さだけが問題となる。 化学平衡での A, B, C の数密度 nA, nB, nCは質量作用の法則で決まる。 数密度 n から圧力 P =nkTの表示に変えると、
D.2.2.G-K-M型星の大気組成 恒星大気中では何百という分子が化学反応式で結ばれている。 ここでは最も基本的なH,C,Oの間の反応式が大気温度が低下するに連れて、どのような分子を生み出すかを調べてみよう。 H,C,Oが全て原子であったと仮定した時の仮想圧力を、 PH0=1000,PC0=0.5, PO0=1 (erg/cm3) とする。 つまり、水素:炭素:酸素の組成比をH:C:O=1000:0.5:1 とする。 組成を数密度でなく分圧で表わすのは計算に便利であるからである。 温度が下がるとH,C,Oの間の反応により様々な分子が形成されるが、ここでは考慮する分子種を、H, O, C, H2,O2,C2, OH, CH, CO, H2O, CH4の 11種に限定して、与えられたPH0、PC0、PO0と T に対し、 PH、PC、PO、PH2、……PH2O、PCH4を決める方法を考える。 この計算に必要なのは反応の平衡定数K(T)である。 KH2(T) 、、、、KCH4(T) が分かれば、与えられた、PHO、PCO、POOに対して PH、PO、PC、PH2 、PO2 、PC2 、POH、PCO、PCH、PH2O、PCH4の11個を結ぶ11個の 化学平衡式を立てることができる。
解くべき方程式は、未知数の数と同じ11個あり、それらは以下の通りである。解くべき方程式は、未知数の数と同じ11個あり、それらは以下の通りである。 (1) PH2=PH2/KH2 (2) PO2=PO2/KO2 (3) PC2=PC2/KC2 (4) POH=POPH/KOH (5) PCH=PCPH/KCH (6) PCO=PCPO/KCO (7) PH2O=POHPH/KH2O (8) PCH4=PCHPH3/KCH4 (9) POH=PH+2PH2 +POH+PCH+2PH2+4PcH4 (10) POO=PO+2PO2 +POH+PCO+PH2O (11) POC=PC+2PC2 +PCH+PCO+PCH4
11変数の非線形連立方程式なので、逐次近似による解法が必要となる。11変数の非線形連立方程式なので、逐次近似による解法が必要となる。 下に解法の1例を紹介する。 A: (1)-(8)式を使うと、PH、PO、PC から残りの分子分圧PH2、PO2、、、PH4 が決まる。独立変数としては他の組み合わせも可である。 B: (9)-(11)の右辺からH,O,Cに対する仮想圧力PH,PO,PCを計算する。 PH(PH,PO,PC)=(PH+2PH2 +POH+PCH+2PH2+4PcH4 ) PO(PH,PO,PC)=(PO+2PO2 +POH+PCO+PH2O) PC(PH,PO,PC)=POCー(PC+2PC2 +PCH+PCO+PCH4) C: Y1(PH,PO,PC)=POHーPH(PH, PO, Pc) Y2(PH,PO,PC)=POOーPO(PH, PO, ) Y3(PH,PO,PC)=POCーPC(PH, PO, PC) が全てゼロになれば終了。 D: 普通はゼロでないので、Y1,Y2,Y30になるようPH,PO,PCを少し動かす。 こうして決めた新しいPH,PO,PCで A: へ戻る。
この解法では、D: の「PH,PO,PCを少し動かす」部分がポイントである。この解法では、D: の「PH,PO,PCを少し動かす」部分がポイントである。 以下にPH,PO,PCの増分をどう求めるかの方法を説明する。 説明の都合上、X1=PH, X2=PO, X3=PC とおく。すると、 Y1(X1+ΔX1,X2+ ΔX2,X3+ΔX1) =Y1(X1,X2,X3)+(∂Y1/∂X1)・ΔX1 +(∂Y1/∂X2)・ΔX2 +(∂Y1/∂X3)・ΔX3 Y2(X1+ΔX1,X2+ ΔX2,X3+ΔX1) =Y2(X1,X2,X3)+(∂Y2/∂X1)・ΔX1 +(∂Y2/∂X2)・ΔX2 +(∂Y2/∂X3)・ΔX3 Y3(X1+ΔX1,X2+ ΔX2,X3+ΔX1) =Y3(X1,X2,X3)+(∂Y3/∂X1)・ΔX1 +(∂Y3/∂X2)・ΔX2 +(∂Y3/∂X3)・ΔX3 と1次の展開式が書ける。 Y1(X1+ΔX1,X2+ ΔX2,X3+ΔX1)=0 Y2(X1+ΔX1,X2+ ΔX2,X3+ΔX1)=0 Y3(X1+ΔX1,X2+ ΔX2,X3+ΔX1)=0 はΔX1, ΔX2, ΔX3に対する1次の連立方程式なのですぐに解ける。
次の問題は、 (∂Y1/∂X1)、 (∂Y1/∂X2)、... (∂Y3/∂X3)をどう計算する かである。 (1)-(8)式を使えば、 ∂Yi/∂Xj (I,j=1,2,3) を直接書き下すこともできるし、 適当に小さなΔXに対し、 [Y1(X1+ΔX1,X2,X3)ーY1(X1,X2,X3)]/ΔX1= (∂Y1/∂X1)等を数値的に 計算してもよい。 こうして、任意の温度での分子平衡を解く準備ができた。 温度が高い場合は分子の数は少なくPH=PoH、PO=PoO、PC=PoC とみなして 他の分子の圧力を計算して構わない。 低温度での計算では初期値の取り方が悪いと逐次近似がうまくいかない場合が あるが、高温度から出発して、その収束値を次の温度での初期値とし、 徐々に温度を下げていく手法が有効である。
log10Kp(T) を下の表に示す。Kp(T)はcgs単位表示であるlog10Kp(T) を下の表に示す。Kp(T)はcgs単位表示である T=1000 1500 2000 2500 3000 4000 5000 6000 -11.09 -3.56 0.42 2.82 4.40 6.36 7.70 8.48 ! H-H -13.32 -4.79 -0.13 2.35 4.11 6.27 7.71 8.59 ! O-O -18.54 -8.48 -2.87 -0.04 2.04 4.61 6.31 7.29 ! C-C -11.05 -3.65 0.21 2.61 3.95 5.94 6.44 8.16 ! O-H -6.53 -0.67 2.26 4.31 5.55 7.06 8.14 8.76 ! C-H -42.98 -24.74 -14.33 -9.43 -5.67 -0.89 2.12 3.92 ! C-O -13.61 -5.05 -0.53 2.17 3.95 6.13 7.62 8.46 ! OH-H -31.52 -8.74 4.50 10.58 14.90 20.98 24.70 26.85 ! CH-3H こうして、求めた分子圧 log P(dyn/cm2) を下の表に示す。 T H2 O2 C2 OH CH CO H2O CH4 H O C 6000 -2.48 -8.59 -7.89 -5.16 -6.06 -4.22 -10.62 -23.91 3.00 0.00 -0.30 5000 -1.70 -7.71 -6.91 -3.44 -5.44 -2.42 -8.06 -21.14 3.00 -0.00 -0.30 4000 -0.36 -6.73 -6.70 -3.17 -5.10 -0.38 -6.30 -17.08 2.99 -0.23 -1.04 3000 1.53 -4.80 -13.28 -1.33 -8.20 -0.30 -2.31 -14.19 2.96 -0.34 -5.62 2500 2.45 -4.38 -17.38 -0.98 -10.38 -0.29 -0.52 -13.05 2.63 -1.01 -8.71 2000 2.68 -7.32 -18.93 -2.38 -11.61 -0.30 -0.30 -11.45 1.55 -3.72 -10.90 1500 2.69 -11.49 -25.31 -4.92 -16.66 -0.30 -0.30 -9.21 -0.43 -8.14 -16.89 1000 2.69 -19.82 -34.87 -9.71 -24.37 -0.29 -0.30 -5.44 -4.19 -16.57 -26.70
log10Kp(T) をグラフで示す。Kp(T)の単位はCH-3H以外はdyn/cm2である。KCH-3Hの単位はdyn3/cm6であるが、cgs系での数値として同じグラフに描いてある。log10Kp(T) をグラフで示す。Kp(T)の単位はCH-3H以外はdyn/cm2である。KCH-3Hの単位はdyn3/cm6であるが、cgs系での数値として同じグラフに描いてある。 解離エネルギー=11eVと大きいCOのラインに注目して欲しい。
D.2.3.C型星(炭素星) 低温度星のスペクトルで最も特徴的なことはM型星とC型星の存在である。 両者共に4000K以下の低温の恒星であるが、そのスペクトルは全く異なる。 その原因が大気中のC/O比の違いにあることを指摘したのは藤田良雄であった。 低温大気では安定なCOがCとOの少ない方を食いつくしてしまう。 このため、Oが多いM型星の大気では余ったOがHやFe、Tiと反応してH2OやTiO を形成する。 一方、C型星では逆にCが余り、それがC2,CH,CNを形成する。 このように C/O>1ーー>C型星 C/O<1ーー>M型星 となるのである。
T H2 O2 C2 OH CH CO 6000. -2.4801 -8.5902 -6.6901 -5.1601 -5.4601 -3.6202 5000. -1.7000 -7.7232 -5.7164 -3.4466 -4.8432 -1.8298 4000. -0.3608 -8.2291 -4.5272 -3.9199 -4.0190 -0.0481 3000. 1.5379 -15.4283 -2.0616 -6.6402 -2.5919 0.0000 2500. 2.4527 -20.5723 -0.5976 -9.0848 -1.9925 0.0000 2000. 2.6832 -25.3402 -0.3197 -11.3935 -2.3033 0.0000 1500. 2.6971 -29.3176 -6.8924 -13.8352 -7.4476 0.0000 1000. 2.6973 -30.1069 -23.9930 -14.8598 -18.9329 0.0000 T H2O CH4 H O C 6000. -10.6202 -23.3102 3.0000 -0.0001 0.2999 5000. -8.0666 -20.5433 3.0000 -0.0066 0.2968 4000. -7.0503 -16.0001 2.9996 -0.9795 0.0414 3000. -7.6212 -8.5850 2.9689 -5.6591 -0.0108 2500. -8.6185 -4.6635 2.6363 -9.1112 -0.3188 2000. -9.3119 -2.1484 1.5516 -12.7351 -1.5949 1500. -9.2167 -0.0020 -0.4315 -17.0538 -7.6862 1000. -5.4462 -0.0020 -4.1964 -21.7135 -21.2665
C/M比較 比較用M型星 γ Hya (炭素星)
C/M判別フィルター 78 81