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第1時限 特許制度概要(1)

第1時限 特許制度概要(1). 第1時限 目次. 1-0 導入 1-1 特許制度とは 1-2 「発明」ってなんだろう 1-3 「特許」になる発明とは 1-4 特許を受けることができる者、職務発明 1-5 特許の申請(「出願」)をするには 1-6 特許権の効力(存続期間)、利用. 1- 1. 導入: 身近にある知的財産. 受講者の興味や専門性に応じて適切な事例を選んで下さい。. 企業の発明 (例)フローリングワイパー(クイックルワイパー) ※ 製品画像をはり付けて下さい。. アーティストの発明

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  1. 第1時限特許制度概要(1)

  2. 第1時限 目次 1-0 導入 1-1 特許制度とは 1-2 「発明」ってなんだろう 1-3 「特許」になる発明とは 1-4 特許を受けることができる者、職務発明 1-5 特許の申請(「出願」)をするには 1-6 特許権の効力(存続期間)、利用

  3. 1-1 導入:身近にある知的財産 受講者の興味や専門性に応じて適切な事例を選んで下さい。 企業の発明 (例)フローリングワイパー(クイックルワイパー) ※製品画像をはり付けて下さい。 アーティストの発明 (例)マイケルジャクソンの「ZERO GRAVITYシューズ」(米国特許USP5,255,452 ) ※例えば 「SmoothCriminal」のビデオクリップ画像などをはり付けて下さい。 身近な特許・意匠・商標 (例)パーソナルコンピュータ <ハードディスク、プログラム(特許)> <外観デザイン(意匠)> <ロゴマーク(商標)> 4

  4. 1-1 導入:身近にある知的財産 受講者の興味や専門性に応じて適切な事例を選んで下さい。 (例)黒烏龍茶 ウーロン茶重合ポリフェノール 【発明の名称】リパーゼ阻害活性を有する新規化合物【出願番号】特願2004-182471【出願日】平成16年6月21日【公開番号】特開2006-1909【公開日】平成18年1月5日【出願人】サントリー株式会社 (例)ルンバ 【発明の名称】自律的床清掃ロボット【出願番号】特願2003-403161【出願日】平成15年12月2日【公開番号】特開2004-195215【公開日】平成16年7月15日【出願人】アイロボット コーポレイション 機械系 化学系 ※製品画像や公報図面を はり付けて下さい。 ※製品画像や公報図面を はり付けて下さい。

  5. 1-1 導入:パテントコンテスト ※特許庁、都道府県、大学は「パテントコンテスト」等と称したイベントを開いている。 一般人・学生等の知的財産マインドの育成 知的財産制度の理解を促す!

  6. 1-1 導入:1年間でこれだけの発明が! 2011年大学別出願件数 ※特許行政年次報告書2012年版を基に作成

  7. 1-1 導入:特許制度と関連する他の制度 実用新案制度 日本 意匠制度 特許制度 その他対象物によっては、以下の制度とも関わりをもつことになる。 不正競争防止法、種苗法、半導体集積回路配置法、 民法、刑法、独占禁止法、PL法(製造物責任法、外為法など 商標制度 各国ごとに制度が異なる 著作権制度

  8. 導入:主要五か国の近年の出願件数の推移 1-1 ※特許行政年次報告書<統計・資料編>2010年版、2011年版、2012年版を基に作成

  9. 1-1 導入:特許制度にかかわる人たち 産業界 一般消費者 一般社員 知財翻訳者 知財情報提供業者 弁理士 技術スタッフ 企業の知財部員  弁護士 個人発明家 裁判官 調査官 専門委員 企業研究者・開発者  研究者(大学)       <発明者> 公的研究機関の研究者 学生・生徒    <発明者> 特許法研究者 特許庁 審査官・審判官 (発明者としてかかわる人たち) 産学連携本部職員 (手続等に直接かかわる人たち) 大学 官

  10. 1-1 導入:研究者・開発者の使命 科学的に思考し、科学的に行動する 現代科学 あるべき姿目的 理念 産業の発達 技術革新をめざす力 多様化

  11. 1-1 導入:知的財産活動の意義 • 事業等の安全性の確保 • 知財リスクの低減 • 他者特許対策 • 事業等の優位性の確保 • 競争力を高める 知的財産活動 (無形財産の創出) • 事業等の市場形成 • 市場(マーケット)への影響力 • 市場参入障壁の構築、対応

  12. 1-1 導入:無形財産の創出 無形財産の創出には創出するための環境(構築)力が不可欠である 無形財産の創出のサイクル 研究 人材 製造 製品・サービス 投資 情報 技術 流通 消費 評価 資金回収・情報取得

  13. 1-1 導入:知的財産創出のサイクル     創造 (新技術開発等) 保護(権利化等) 活用・利益 (ライセンス契約等)

  14. 1-2 特許制度とは -イメージをつかむー ※目に見えない、 頭の中にあるもの 思想・アイデア 発明 審査出願公開 自由に使える 特許として 保護される (出願から20年間 20年経過 特許庁に出願する 試作品を 作るなど して具体化

  15. 1-2 特許制度とは (目的) 第1条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を  奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。 一定期間独占権の付与 (模倣に対して「やめなさい!」  と言える権利) 発明の保護 (権利者) 勝手に使ったらダメ! 特許は発明をオープン にすることが前提 公開された発明をもとにした改良 技術の開発(改良発明の誘発、 新たな発明の機会)、 発明の利用等の促進 発明の利用 研究開発の無駄 (ロス)をなくす

  16. 1-3 「発明」ってなんだろう 発明であること! ×自然法則以外の法則 →経済法則等 ×人為的取り決め →商売方法等 ×自然法則自体(「利用」にあたらない        →「エネルギー保存の法則」、「万有引力の法則」自体 ×いわゆる技能→フォークボールの投げ方 ×単なる情報の提示 →デジタルカメラの撮影データ ×美的創作物→絵画、彫刻 ○天然物から人為的に分離した化学物質     ×天然物の単なる発見など 参考: 実用新案法2条1項    この法律で「考案」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう。 特許法 2項1項 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。 特許要件の詳細は、次のスライドへ

  17. 1-4 特許を受けることができる発明 新しい(新規性)29条1項各号 産業上利用 できる29条1項柱書 該当しないもの:①人間を手術、治療、診断 する方法②現実に実施することが できないことが明らかなもの③個人的にのみ実施され、  市販などの可能性がないもの 該当しないもの:            ①特許の申請前にテレビなどで放送され、公然と知られたもの、 ②特許の申請前に製品として販売されるなどして、公然と実施されたもの、                 ③特許の申請前に、書籍やインターネットなどで公表されたもの 容易に考え出すことができない(進歩性) 29条2項 同一発明につき、先に特許出願がされていないこと39条 出願書類が一定の要件を満たしている  36条 発明の特許要件 公序良俗に反しない  32条 手続的要件 紙幣の偽造機械など、犯罪につかわれるもの等でないこと ★前提: 「発明」であること(1-2.参照)

  18. 1-4 特許要件:産業上の利用可能性 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。(29条柱書) ×産業として利用できるものに該当しないもの  ①人間を手術、治療又は診断する方法の発明   (→○医療機器、医薬自体は物に該当)  ②業として利用できない発明    ・個人的にのみ利用される発明(喫煙方法等)  ③理論的には発明の実施が可能であっても、その実施が実際上考えられない発明 産業上の利用可能性

  19. 1-4 新規性・進歩性について 詳細は、第2回で説明 1.特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明 2.特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明 3.特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明 (29条1項) 新規性 新規性が喪失 しているもの 公然と知られた発明 公然と実施された発明 新規性喪失の例外(第30条) ・自らが研究会発表 ・自らが博覧会へ出品 ・自らがTVに発表   等 刊行物等に記載された発明 ×発表、テレビ放映 ×販売、製造状況の不特定者見学 ×特許公報、論文、CD-ROM、書籍、インターネット 例外的措置!!

  20. 1-4 新規性・進歩性について 詳細は、第2回で説明 特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない (29条2項) 進歩性 当業者からみて、その発明に至る考え方の道筋が容易かを判断  ①公然と知られた発明や実施された発明を単に寄せ集めただけにすぎない発明  ②発明の構成要素の一部を置き換えたにすぎない発明 新規性・進歩性の判断

  21. 1-4 新規性喪失の例外 詳細は、第2回で説明 新規性喪失の例外規定 国際比較 新規性喪失の例外の適用 が受けられる場合 (特許法第30条) 発表と出願のタイミング 本人 他人 特許を受ける権利を持っている人 (発明者や発明者から権利を譲渡された者) の行為による ○刊行物やインターネットを通じた発表 ○研究集会(学会)での発表  や博覧会への出品 ○TV・ラジオでの公表 ○製品の販売    など 論文等で発表 6月以内 他人の出願 30条適用出願 30日以内 証明書類の提出 その結果 発明が初めて 公知となる ○本人の出願→他人の先出願と同一であれば拒絶される。 ○他人の出願→論文が公知技術となり拒絶されるが、   本人も特許が取れない場合がある。

  22. 1-4 特許要件:その他 ○公序良俗に反する発明(32条) ×紙幣の偽造機械 ×金塊密輸用ベスト ×麻薬 ○明細書等の記載(36条) ○当業者が実施できる程度に記載されているかどうか ○権利を求める技術的な範囲が明確か ○先行技術文献が開示されているか

  23. 1-4 手続的要件:先願主義 ○先願主義(39条) 先に発明を完成した者でなく、先に特許庁に出願した者に特許 【ダブルパテント排除(同一出願人も適用) 39条】   ○特許請求の範囲が同一の場合は後願を排除 【拡大された先願の地位(同一出願人は除く) 29条の2】 ○出願公開等された先願の出願当初の明細書、図面、特許請求の範囲に記載 された発明と同一の発明は後願を排除 ○拡大先願(29条の2) 先願の特許請求の範囲と明細書、図面に基づいて判断する。

  24. 1-5 特許を受けることができる者(発明は誰のものか) :単独で発明した場合 発明者 :2人以上で発明した場合 共同発明 →特許を受ける権利は 共有となる :発明者が企業の研究者・技術者だった場合 職務発明 第6回で説明

  25. 1-5 特許の申請(「出願」)をするには 【書類名】図面    発明の内容理解に役 立つ図面を記載 (必要な場合)  【書類名】要約書   発明全体のポイント を簡素に記載 (公開特許公報への 掲載のみを目的) (審査対象としてではなく インデックスとしての 役割) 【書類名】特許願  発明者や出願人等 を記載  【書類名】明細書   発明の内容等  (課題、産業上の  利用分野、従来技術、 実施の形態等) を記載 【書類名】特許請求  の範囲      権利を求める 発明の範囲の内容 を特定して記載 特許 印紙 書面による出願 電子出願 特許庁 インターネット経由の出願が可能(専用ソフトを使用する)(現在では大半が電子出願である) 電子化手数料が必要 (1,200円+1枚700円)

  26. 1-6 特許の申請(「出願」)をするには ※出願から特許取得までの流れ 出願 1年6月 3年以内 出願公開 (公開特許公報) 出願審査請求 方式審査 補正命令 補正書提出 実体審査 拒絶理由通知 拒絶査定 拒絶査定不服審判 意見書・補正書提出 特許権発生 特許査定 特許料納付 登録 特許公報 20年 無効審判(請求) 審決 (特許維持) (特許無効) 特許権消滅

  27. 1-6  補論:出願に当たり考慮すべき事項 より強い権利を取得するため 発明のポイントの掘り下げ、より広い概念で発明を把握する 例:素材pを用いて、携帯電話の雑音を少なくする →素材pと同じ性状を持つその他の素材はないか (→ない →他のアンテナ素材と使用できるか) ⇒素材p´も使用できる                  ⇒素材P(素材pと素材p´をまとめた)をアンテナ素材として用いた携帯電話機を出願   ・・・仮に素材pのみをアンテナ素材として用いた携帯電話機を出願しているとすると、ライバル社等が素材p´をアンテナ素材として用いた携帯電話を製造販売していたとしても、権利主張ができない。 発明の表現形式に注意する 特許法では、発明を「物の発明」「方法の発明」「物を生産する方法の発明」の3つのカテゴリに分類している。発明は、どのカテゴリに定義されるのかによって権利がどのような範囲に及ぶのか違ってくる。 発明の本質部分を把握する 発明の本質とは、発明の機能・原理を指す。以下の点が本質の把握に重要である。 ①この発明による技術の進歩は何か ②発明の中心的機能もしくは解決しようとする中心的課題は何か ③機能を発揮する最低限の要素は何か ④どの範囲まで適用できるか

  28. 1-6  補論:出願に当たり考慮すべき事項 ①発明の創作 先行技術の確定 出願断念 狭くする YES ②発明の構成 が全く同一か YES NO NO ⑤発明を狭くできるか  NO ③解決課題や作用・効果が 新しいか YES YES ④それは予測可能か NO 把握完了・出願準備 大きい発明に変更 NO ⑥さらに大きな発明に広げられるか YES

  29. 1-7  特許権の効力(存続期間)、利用 特許発明 第三者が無断で実施すると、特許権侵害となる 発明を実施することはできない 第三者 発明を実施する ことが可能 権利者 権利の存続期間は出願から 20年 ※特許権の存続期間の延長制度を利用した場合最大25年まで可能

  30. 1-7  特許権の利用の形態 • 自分が使う:特許を利用した製品を開発、商品化し、独占的に   市場に供給することによって、利益を得る。 • 他人に使わせる:第三者による特許の利用を認める(契約など)   代わりに、ライセンス料を得る。 • 譲渡する:特許権自体を第三者に譲り渡す(売買など)。

  31. 1-7 例外:権利者以外(第三者)が実施できる場合 • 事業としてではない(個人的、家庭内での)実施 • 試験、研究としての実施 • 許諾(ライセンス契約)に従った実施 ※「実施」とは 発明を使うこと。物の発明であれば、その物を生産したり、その物を譲り渡したりすること。

  32. 1-7  権利が侵害された場合 差止請求(特許法100条)侵害行為をやめるよう要求すること、侵害品を破棄するよう求めること、侵害品の製造設備を破棄するよう求めることができる。 損害賠償請求(民法709条)財産的損害(権利者が実施していれば得られたはずの利益等)の賠償(金銭の支払い)を求めることができる。 信用回復措置命令(特許法106条)権利者の業務上の信頼を回復するのに必要な措置(謝罪広告等)を求めることができる。  刑事罰(10年以下の懲役、1000万円以下の罰金。法人の場合 は3億円以下)

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