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植物細胞生理学(第 15 回 2/2 ) 栄養2. 必須元素、有用元素、有害元素 (改変して再掲). 多量必須元素 (第14回参照) 微量必須元素 (サブ ppm ~数百 ppm ) Fe Mn Cu Zn Mo B Cl Ni 有用元素 (特定の植物 or 特定の環境で有用) 有害元素 (過剰に存在すると有害) Na Al (少量でも有害) Cd As 放射性元素. ← 本日. ← 本日.
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必須元素、有用元素、有害元素(改変して再掲)必須元素、有用元素、有害元素(改変して再掲) • 多量必須元素(第14回参照) • 微量必須元素(サブppm~数百ppm)Fe Mn Cu Zn Mo B Cl Ni • 有用元素(特定の植物 or 特定の環境で有用) • 有害元素(過剰に存在すると有害) NaAl(少量でも有害) CdAs 放射性元素 ← 本日 ← 本日
Feの作用と欠乏症ヘムタンパク、鉄イオウタンパクの重要な成分(チトクローム酸化酵素、硝酸還元酵素、フェレドキシンなど)土壌では三価鉄で不溶化、海洋では沈殿アルカリ土壌(世界の約30%)で特に問題Fe3++3OH-→ Fe(OH)3 pH7で10-17Mしか溶けない 微量必須元素の取り込/分子作用 植物の対応 * StrategyI ・・・イネ科以外の植物 水酸化鉄(III)を可溶性(還元→Fe2+)して吸収 * Strategy II ・・・イネ科植物 三価鉄のキレーター分泌と錯体輸送系
フェノール化合物 還元系(電子伝達系類似) 二価鉄 「植物栄養学」(第2版)より 鉄・ムギネ酸錯体 鉄・ムギネ酸錯体輸送系(YS1やHvYS1)
B(ホウ素) 高等植物のみで必須 細胞壁構成成分(ラムノガラクツロンII)に含まれる 適量域が狭い(イネで過剰害が出やすい)もちろん、欠乏症も多くの作物で頻発 ホウ素輸送体BOR1の同定 B 3μM bor1-1 • 地上部にB欠乏症が出る変異シロイヌナズナが出発 • Nature 420:337 (2002) Takano et al. • (東京大学)
BOR1は根から地上部へのBの移行に必要 そもそも根が吸収するときに働く輸送体は? http://www.nougaku.jp/award/2006/takano.pdfより
ホウ素輸送体NIP5;1の同定 A,B: 水の吸収 (カエル卵母細胞) C,D: ホウ素B(OH)3の吸収 機能欠損遺伝子をもつ植物は・・・ The Plant Cell, 18, 1498–1509, 2006 Bなど微量元素の輸送体は遺伝子の種類も少ない 多量に必要な元素、物質の輸送体は遺伝子の種類も多い シロイヌナズナのK輸送体チャネル 15 トランスポーター 20
Mn 光化学系IISOD(活性酸素除去) • CuSOD いくつかの酸化酵素 電子伝達 • ZnDNApolymeraseRNA polymerase Zinc fingerDNA 転写因子ZIF268 (この図では3つ) Znイオン • Mo 硝酸還元酵素の構成成分(通常水耕栽培液に加えるものの中で最微量 0.01ppm程度)
Cl (1954年) 光化学系IIでの水分解に必要気孔開閉 陽イオンの対イオン ぜいたく吸収Cl (1954年) 光化学系IIでの水分解に必要気孔開閉 陽イオンの対イオン ぜいたく吸収 • Ni (2000年頃) ウレアーゼの活性中(NH2)2CO + H2O → CO2 + 2 NH3Niの土壌中の存在量は多い 植物の必要量は少ない(<0.1mg/kg)高濃度Ni含有土壌あり ニッケル超集積性植物タカネグンバイ 輸送系遺伝子(TjNT1~)を単離→酵母に導入→Ni耐性が変化 Thlaspi japonicum(北海道固有種、絶滅危急種) <三重大学の研究>
重金属超集積植物 通常の植物の10~100倍集積しても害を受けない Cdを吸収・集積する グンバイナズナ Arabidopsis halleri(資源生物科学研究所の実験例) • Cd 骨がもろくなって折れ、「痛い痛い」と苦しむ・・・ 鉱業による神通川(富山)のCd汚染(1960年代)
カドミウム汚染土壌(3ppm)でのポット試験(農水省)カドミウム汚染土壌(3ppm)でのポット試験(農水省) 注意:環境(水分、pH、他ミネラル)で変わる可能性 現在の日本の基準 1mg/kg → 国際基準 0.4mg/kg への移行検討中 (汚染米判定の心配) イネのCd吸収と移行の分子メカニズム・・・各地で研究中 品種間差の利用1)輸送体の単離 2)低吸収品種の育種 3)高吸収品種を使ったファイトレメディエーション(土壌浄化) 従来の重金属除去手法と比較し、(メリット) 1)濃縮した形で重金属を回収2)低コスト 3)環境フレンドリー (デメリット)として 1)比較的長期間が必要 2)植物が生育する土壌条件にする必要がある 3)回収した植物体をどうするか(最終処分) 三重大学土壌圏生物機能学HPより
超集積植物 ヘビノネコザ(シダ):指標植物 金山草(かなやまそう) 金、銀、銅、鉛、亜鉛、カドミウム コシアブラ(山菜) マンガン (1%以上) モエジマシダ ヒ素 (葉に集積) 放射光マイクロビームを用いた植物における重金属の蛍光X線イメージング http://www.rada.or.jp/database/home4/normal/ht-docs/member/synopsis/020265.html
隔離・集積 排出 無毒化・低毒化 PC: ファイトケラチン (γ-Glu-Cys)nGly 重金属耐性機構 PC HM(heavy metal) HM PC-HM 細胞質 CPx-ATPaseなど HM 液胞 Cation diffusion facilitator (CDF) Heavy metal ATPase (HMA)など メタロチオネイン TytpeI:(動物、一部の植物)遺伝子から翻訳 TypeII: (酵母)TytpeIと配列違い TypeIII: (植物)ファイトケラチン 酵素的生成
As(ヒ素) 日経サイエンス2004年11月号 日経サイエンス2004年11月号 世界中で5000万人以上に影響 植物より動物で影悪響が出やすい 自然界にかなりある (化学形態で毒性大きく異なる) 地下水利用で問題が顕著化 植物で濃縮される 有機体はほぼ無毒 ヒ酸(リン酸類似) 亜ヒ酸 トリメチルヒ酸
酵母を使ったヒ素輸送体の検索・同定・解析 (亜ヒ酸) 4 (ヒ酸) Acr3欠損株:亜ヒ酸に対する感受性↑ コンストラクト 導入 ベクター候補輸送体の遺伝子を組み込んでAcr3欠損株に導入、発現 OsNI2;1(=Lsi1:ケイ酸輸送体)を含めていくつかのOsNIPアクアポリンやHvNIP1;2が亜ヒ酸を輸送していると考えられる 低ヒ素吸収/蓄積イネの開発へ
SOS3(Ca関与) SOS2 K+ Na+ KAT AKT HKT CNGC(NSC) ・・・・ (さまざまな1価陽イオン輸送系) • Na過剰害(塩害、塩ストレス) 植物細胞のNaマネージメント Na+ Na+ H+ NHE SOS1 (ほかにも排出系あり) H+ (SOS系:第5回参照) 世界の塩害 (第2回も参照) 塩類土壌とNa土壌 塩類土壌の現場について (オーストラリアの例)
Al(酸性土壌) 酸性土壌の分布 http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.stress/research3.html 酸性 → 土壌中のアルミニウムがAl3+Al(OH)2+などになって溶け出す(毒性) 耐性機構 リンゴ酸など MATEファミリーなど ALMT1など 「植物栄養学」 (第2版)より http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.growth/Research.html
放射性物質と植物 自然放射線(ヒト) 外部(宇宙線、地殻、空気)約2.1mSv 内部(40K14C) 約0.3mSv 食物(例:ポテト 400Bq/Kg)→人体 実効線量係数 10-9~10-7 Sv/Bq (核種による) 放射性ポロニウム(210Po) 日経サイエンス 2011年4月号 リン肥料中のウラン(天然放射性物質) →(崩壊)ラドン→気化→鉛→ポロニウム →点火で気化→肺に蓄積→発ガンリスク↑ 130万人/年・世界の肺ガン 90%は喫煙 そのうちの>2%がポロニウムが原因
放射性物質と植物 放射性ヨウ素(131I:半減期8.1日) 福島事故での放出は一過的であった 高等植物ではヨウ素は不要(高濃度で害)、海藻の一部は含有 放射性ストロンチウム(90Sr:半減期28.9年) 福島事故では放出量は少なかった SrはCaと同族元素 Caと同じ輸送系で生体内に入る ヒトでは骨に蓄積(長期内部被ばく) 放射性セシウム(137Cs:半減期30.1年、134Cs:半減期2.1年)福島事故でもっとも問題 カリウムの同族元素 ただし 2周下 カリウムと同じ輸送体で取り込まれるのではない模様 直接汚染(放射性降下物の葉などへの吸着)と間接汚染(根からの吸収) Cs降下量 福島事故で東京では(3~5月累計) 17318 Bq/m2 (文部科学省発表) それ以前は・・・ 食品新基準値(11年12月設定、4月から適用) 「一般食品」 100 Bq/Kg、 「乳児用食品」と「牛乳」 50 Bq/Kg 「飲料水」 10 Bq/Kg 岡山の3~5月降下量は8.9 Bq/m2
次回(最終回) 2月9日:試験日 • 試験の概要 1)毎回の授業内容から、内容理解を確認する簡単 な問題(10問くらい) 2)「生理学的なデータの読み方」についての問題 • 資料を試験中に参照することは不可 • やむを得ない事情で試験を欠席する場合は且原(kmaki@rib.okayama-u.ac.jp)まで連絡すること。連絡なく試験を受けない場合は単位認定できません。