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大人の発達障害について

大人の発達障害について. 2012 年夏バージョン. はじめに. 本スライドは Bananaboy が日常臨床において,患者および家族に発達障害について説明する際に用いているものです。 本来は口頭での説明を併用しながら用いるものであるため,スライドだけを見ても,何のことかよく分からない部分もあるかと思います。 また, DSM-Ⅴ での疾患分類再編成の問題などもあり,発達障害を巡る概念や理解も日々,変化しています。本スライドは,ある一時点における一精神科医の見解にすぎません。. 朝日新聞 2013 年 1 月 8 日

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大人の発達障害について

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Presentation Transcript


  1. 大人の発達障害について 2012年夏バージョン

  2. はじめに • 本スライドはBananaboyが日常臨床において,患者および家族に発達障害について説明する際に用いているものです。 • 本来は口頭での説明を併用しながら用いるものであるため,スライドだけを見ても,何のことかよく分からない部分もあるかと思います。 • また,DSM-Ⅴでの疾患分類再編成の問題などもあり,発達障害を巡る概念や理解も日々,変化しています。本スライドは,ある一時点における一精神科医の見解にすぎません。

  3. 朝日新聞 2013 年1 月8 日 脳の一部に障害があり、日常生活に支障をきたす注意欠陥・多 動性障害(ADHD)。大人の患者への治療、支援が広がってきた。 厚生労働省研究班は、成人の診断基準の日本語版をまとめた。こ の診断基準を日本人にあてはめると、少なくとも成人の1.65% に疑いがあった。医療現場でこの基準を活用し、早期診断につな げていく。 ADHDは発達障害のひとつで、これまでは子どもへの治療、 支援が主だった。成人はうつ病などを併発している人が多く、診 断が難しい。厚労省研究班(主任研究者、中村和彦浜松医科大准 教授)は、米精神医学会などの診断基準をもとに日本語版をつく り、日本人でも正しく診断できることを確かめた。 診断基準では、注意力が続かない「不注意」、じっとしていられ ない「多動性・衝動性」など代表的な症状があるかを確認する。 多くは7歳ごろまでに症状がみられるため、発症の時期も尋ね、症状を成人期と小児期に分けて、9項目ずつ質問する。 具体的な質問項目は「鍵や財布、書類をなくす」「予定や日程を忘れる」「テレビ番組や講義の間、座ったままでいるのが 難しい」「映画の最中でも、おしゃべりしてしまう」などだ。基準に加え、専門医がほかの病気はないか問診したうえで診断 する。 研究班は、静岡県内の18~49歳の男女3910人に忘れ物の頻度などをアンケートした。この結果、ADHDの疑い があるとされたのは196人。うち面接調査に応じた41人を診断基準を使って面接したところ、14人をADHDと診断 した。そこから、成人人口の1.65%が該当するとの推定値を出した。 成人のADHDについて、昨年8月に治療薬ストラテラが国内で初めて保険適用された。脳内の神経伝達物質の減少を防 ぎ、症状を改善させる効果がある。 中村准教授は「成人期のADHDの診断や治療は、ようやくスタートラインに立った。理解を深め、治療や支援制度を充 実させる必要がある」と話す。 【土肥修一】 ◇ 《注意欠陥・多動性障害(ADHD)》 発達障害のひとつ。主な症状は注意力が続かない、落ち着きがないなど。小児期に発症し、年齢とともに症状が改善する こともあるが、大人になっても治まらない場合がある。忘れ物が多かったり、期日が守れなかったりすることで「怠け者」 とみられ、職場や家庭でトラブルを抱えてしまうことがある。欧米では成人人口の4%程度があてはまるとの調査もあるが、 国内の実態はわかっていなかった。

  4. 発達障害とは何か

  5. 発達障害とは何か • 人はみんな,生まれながらにして得意/不得意の凸凹がある。 • 駆けっこが速い子 • 音痴な子 • 算数が得意な子 • 我慢が利かなくて喧嘩早い子 • 絵を描くのが上手な子 • 作文は得意だけど暗記が苦手な子 • etc.etc.

  6. 発達障害とは何か • どんな事柄についても,「平均」の人が一番多く,平均からの偏りが大きい人ほど数が少ないものである。

  7. 発達障害とは何か • 平均からあまりに大きく偏り過ぎていると,社会生活を送る上で,様々な不便が生じる場合がある。 • そのような場合,「発達障害」があるという。

  8. 発達障害とは何か • つまり「発達障害」とは,生まれながらの「少数派」(マイノリティ)を指す言葉である。 • 「平均」からズレているということを意味しているだけなので,「どのように」「どのくらい」ズレているかで,様々なサブカテゴリーがある。

  9. 発達障害とは何か • 発達「障害」という言葉には,意図せずとも,どこかネガティブな響きがある。 • 「発達的マイノリティ」「発達マイノリティ」などと呼ぶこともある。 • 同様に,発達障害を持たない人達のことを,「健常者」ではなく「定型発達者」と呼ぶことがある。 • 発達障害そのものは,「病気」ではない。

  10. 発達障害とは何か • 生まれながらの白人。 • 生まれながらの女性。 • 生まれながらの巻き髪(天パー)。 • 生まれながらの○○発達障害。

  11. 発達障害とは何か • 「白人」はみんな同じか? • 「女性」はみんな同じか? • 「巻き髪」の人はみんな同じか? 数多くある,その人の持つ特性の うちの一つに過ぎない!

  12. 発達障害とは何か • 「発達障害者」と「定型発達者」とは連続的なものである。 • 発達障害の程度が強い人もいれば,程度が弱い人もいる。 • cf. 短距離走(100m)を10秒で走る人,12秒で走る人,30秒で走る人,1分以上かかる人 etc.どこまでが「足の速い人」で,どこからが「足の遅い人」なのか。

  13. 代表的な発達障害 • 精神遅滞(知的障害,MR) • 注意欠陥多動性障害(AD/HD) • 広汎性発達障害(PDD,ASD) • 学習障害(LD) • etc.

  14. 精神遅滞 • 教育や福祉の現場では知的障害ともいう。 • 知能指数(IQ)が70以下。 • 最重度精神遅滞 • 重度精神遅滞 • 中等度精神遅滞 • 軽度精神遅滞 • 境界知能

  15. 注意欠陥多動性障害(AD/HD) • 注意力の障害 • 注意力がない。 • 気が散りやすい。 • 多動性 • 落ち着きがない。 • いつも走り回っている。 • 衝動制御の障害 • すぐに手が出る。 • 順番を待てない。

  16. 広汎性発達障害(PDD) 自閉症スペクトラム障害(ASD) • 社会性の障害 • 友達ができない。 • 空気が読めない(KY)。 • コミュニケーションの障害 • 言葉を字義通りに解釈してしまう。 • こだわり • 独自のルールへの固執。 • 融通が利かない。

  17. 学習障害(LD) • 読み,書き,そろばんが出来ない。 • 精神遅滞ではないのに,特定の勉強が苦手。

  18. 学習障害(LD) • 読み,書き,そろばんが出来ない。 • 精神遅滞ではないのに,特定の勉強が苦手。 ここまで聴いていて, 何か気付きませんか?

  19. ネガティブなことばかり!

  20. 診断基準の問題 • 「~の障害」 • 「~の欠損」 • 「~が苦手」 • 「~の失敗」

  21. 診断基準の問題 • 「~の障害」 • 「~の欠損」 • 「~が苦手」 • 「~の失敗」 発達「障害」

  22. 発達障害はマイナスなのか • AD/HD • 行動力がある。 • いろんなところに注意が行く,気付く。 • cf. 狩猟民族向き? • PDD,ASD • 常識にとらわれない。閉塞の打破。 • コツコツと根気よく,物事をやり通す。 • cf. ノーベル賞の受賞者に多い?

  23. 注意欠陥多動性障害(AD/HD) • 注意力の障害 • 注意力がない。 • 気が散りやすい。 • 多動性 • 落ち着きがない。 • いつも走り回っている。 • 衝動制御の障害 • すぐに手が出る。 • 順番を待てない。

  24. 発達障害はマイナスなのか • AD/HD • 行動力がある。 • いろんなところに注意が行く,気付く。 • cf. 狩猟民族向き? • PDD,ASD • 常識にとらわれない。閉塞の打破。 • コツコツと根気よく,物事をやり通す。 • cf. ノーベル賞の受賞者に多い?

  25. 広汎性発達障害(PDD) 自閉症スペクトラム障害(ASD) • 社会性の障害 • 友達ができない。 • 空気が読めない(KY)。 • コミュニケーションの障害 • 言葉を字義通りに解釈してしまう。 • こだわり • 独自のルールへの固執。 • 融通が利かない。

  26. 発達障害はマイナスなのか • AD/HD • 行動力がある。 • いろんなところに注意が行く,気付く。 • cf. 狩猟民族向き? • PDD,ASD • 常識にとらわれない。閉塞の打破。 • コツコツと根気よく,物事をやり通す。 • cf. ノーベル賞の受賞者に多い?

  27. 数多くの有名人たち

  28. 発達障害者だって人間だ! 発達障害の部分 発達障害 ではない部分

  29. 「僕のこころを病名で呼ばないで」 青木省三 岩波書店(2005)

  30. 人は成長発達する

  31. 人は成長発達する

  32. 人は成長発達する

  33. 人は成長発達する 発達障害 ではない部分

  34. 大人の発達障害 • 幼少期に診断され,「発達障害者が大人になった」ケースもあるが・・・ • 幼少期には診断されず,「大人になって初めて診断される」ケースが多い。 • 発達障害の程度が「弱い」ケースが多い。 • 発達障害以外の部分が,相対的に大きい。 • 二次障害を主訴に来院することが多い。

  35. 大人の発達障害 • 「不安障害」と診断されたけど・・・ • 「うつ病」と診断されたけど・・・ • 「人格障害」と診断されたけど・・・

  36. 大人の発達障害 • 「不安障害」と診断されたけど・・・ • 「うつ病」と診断されたけど・・・ • 「人格障害」と診断されたけど・・・ 背景に発達障害?!

  37. ただし 何度も言うけど...

  38. 大人の発達障害 ここが大事! (発達障害ではない部分) 発達障害

  39. 診断とは何か • 「発達障害だと思うので,診断してください」

  40. 診断とは何か • 「発達障害だと思うので,診断してください」 ちょっと待った! 診断して,どうしたいの? 何のために,診断して欲しいの?

  41. 診断とは何か • 治療方針の決定。 • 患者さんの自己理解,病状説明。 • 福祉制度などの利用。 • 医学的な統計。

  42. 診断とは何か • 治療方針の決定。 • 患者さんの自己理解,病状説明。 • 福祉制度などの利用。 • 医学的な統計。 目的を欠いた診断は単なる 「レッテル貼り」に過ぎない!

  43. 診断とは何か • 「貴方はアスペルガー障害です。これはもう一生治りません。うちでは出来ることはないので,もう通院しなくて結構です」

  44. えっ?!

  45. 発達障害は治らないのか • 発達障害は「病気」ではない。 • 基本的に「治療」の対象ではない。 • 発達障害者は「発達する!」 でも 「治らないという考え方は, 治りませんか?」(神田橋條治) 「花風社」(2010)

  46. 岩波書店(2011) 筑摩書房(2012)

  47. 発達障害を抱えながら生きる • 奴隷制度時代のアメリカで生まれた黒人の子どもは,生きていくことが大変だったかも知れない。 • 日本で差別にさらされながら生きてきた,在日朝鮮人の人たちや,被差別部落の人たちは,苦労をしてきたかも知れない。 • 「発達障害者」という「マイノリティーとして生きる」ことの困難。

  48. 新潮社(2000) 花風社(2004)

  49. 発達障害の診断 • 基本的に,幼少期から現在に至るまでの,詳細な病歴・生活歴・発達歴の聴取に基づく。 • 心理検査は補助的な役割を果たす。 • 母子手帳。学生時代の通知票。

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