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リケッチア・クラミジア・マイコプラズマ. 2008 年 5 月 8 日 1 限. Suge の分類. 1 偏性細胞外増殖寄生体:細胞内では増殖できず、細胞外でのみ増殖するもの。大部分の細菌 , 真菌 , 原虫 2 通性細胞内増殖寄生体(細胞内寄生体):細胞内と細胞外の両方で増殖可能なもの。 結核菌 , チフス菌 , 淋菌など 3 偏性細胞内増殖寄生体(偏性細胞内寄生体):細胞内でのみ増殖し、細胞外で増殖することが不可能なもの。 ウイルス , クラミジア , リケッチア , マイコプラズマ トキソプラズマ , リシュマニア , トリパノゾーマなど.
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リケッチア・クラミジア・マイコプラズマ 2008 年5月8 日1限
Sugeの分類 1 偏性細胞外増殖寄生体:細胞内では増殖できず、細胞外でのみ増殖するもの。大部分の細菌,真菌,原虫 2 通性細胞内増殖寄生体(細胞内寄生体):細胞内と細胞外の両方で増殖可能なもの。 結核菌,チフス菌,淋菌など 3 偏性細胞内増殖寄生体(偏性細胞内寄生体):細胞内でのみ増殖し、細胞外で増殖することが不可能なもの。 ウイルス,クラミジア,リケッチア,マイコプラズマ トキソプラズマ,リシュマニア,トリパノゾーマなど
偏性細胞内寄生性の臨床的特徴 • 抗体や補体は細胞の内部には入りこめないため、液性免疫は病原体に接触してから侵入するまでのごく限られた段階にしか有効ではなく、細胞性免疫が果たす役割が大きい • 抗菌薬の使用に関しては,細胞内への浸透性が要求されるため、使用する薬剤が限られると共に、細胞への毒性が強く現れる危険性が高い
細胞内共生説 The Origin of Mitosing Eukaryotic Cells. was rejected by about fifteen scientific journals • 真核生物の細胞自体が、呼吸や光合成の能力を持った細菌が偏性細胞内寄生体として別の細菌に感染することで生まれた • 呼吸によるエネルギー産生能を有するミトコンドリアとリケッチア、光合成を行う藍藻と、葉緑体は共通の祖先を持つらしい. • 近年はペルオキシソームと古い細菌の関連が注目される Lynn Margulis
リケッチア Rickettsia • 非運動性でグラム陰性の細胞壁を持つ、1-4μmの球菌または桿菌. • DNA解析ではミトコンドリアと近縁 • ウイルス、クラミジア、ファイトプラズマ等と同じく偏性細胞内寄生性であるが、これらとは異なり独自のエネルギー生産系を持つ. • 血管内皮系の細胞で増殖. 血栓や壊死を来たす
Howard Taylor Ricketts(1871-1910) • 米国の病理学者 • リケッチアの研究中にメキシコで発疹チフス感染し死去
リケッチア疾患 • テトラサイクリン系,クロラムフェニコール系が有効
紛らわしい名前 • リケッチア感染症 Rickettsia • くる病 Rickets ビタミンDの代謝障害 • 発疹チフス typhus :リケッチア感染症 • 腸チフス typhoid fever:サルモネラ感染症
発疹チフスepidemic typhus • Rickettsia prowazekiiの感染症 • 人口密集地域、不衛生な地域に見られ、コロモジラミが媒介 • 冬期、または寒冷地で流行 • ムササビが宿主 • 日本では1955年以降の報告はない • アフリカ高地や南米高地でまだみられる
診断と治療 症状:潜伏期1-2週間. 発熱、頭痛,悪寒、手足の疼痛などで突発し、高熱、全身に広がる発疹. (体幹の斑状の紅斑や丘疹,点状出血)次第に手足に広がるが、手掌、足蹠をおかさない.致死率は年齢により増加(治療しない場合20歳以下は5%,60歳以上では100%) 再発型をBrill-Zinsser 病という 診断:病原体の培養は困難であり,蛍光抗体法やPCRで診断 治療:テトラサイクリン、ドキシサイクリン,クロラムフェニコール
ツツガムシ病 • R.orientia tsutsugamusi 感染症 ツツガムシが媒介 • 年間500-800例が報告 • 古典型;山形県・秋田県・新潟県などの地域で夏季に河川敷(信濃川・阿賀野川・最上川等)で感染する風土病. アカツツガムシ(Leptotrombidium akamusiが媒介 血清型 Kato • 新型;第二次世界大戦後,北海道を除く全国で見られる.タテツツガムシ(L.scutellare)やフトゲツツガムシ(L.pallidum)が媒介し秋~初冬に発生 :血清型 Karp,Gilliam, Kuroki、kawasaki 太字は標準型
ツツガムシの生態 • 成虫は土壌昆虫の卵などを捕食するが、卵から孵化した直後の第1期幼生が, 野ネズミなど温血動物の皮膚に吸着し、組織液や崩壊組織などを吸入 • ネズミやヒトなどの動物はこの吸着時にリケッチアに感染する。吸着時間は1~2日で、ダニから動物への菌の移行にはおよそ6時間以上が必要 • 菌はダニからダニへと経卵感染により受け継がれ、菌を持たないダニ(無毒ダニ)が感染動物に吸着しても菌を獲得できず、有毒ダニにならない • 有菌ダニは全体の1%以下
診断と治療 • 症状 潜伏期 1-2週間.39度以上の高熱と、2日目ころから体幹部を中心とした全身に、2-5mmの大きさの紅斑・丘疹状の発疹が出現し、5日目ころに消退する。筋肉痛、目の充血が見られることもある。 皮膚には特徴的なダニの刺し口(発赤と軽度の腫脹を呈し、水庖や潰瘍を生じる) . 倦怠感、頭痛、リンパ節の腫脹も多く見られる.重症例では、播種性血管内凝固症候群や、多臓器不全で死亡することもある。 • 検査:CRP強陽性、肝酵素の上昇, 白血球の上昇が少ない.確定診断は血清中の抗体と血清型を蛍光抗体で調べる • 治療:CP, TC
予防法 • 長袖・長ズボン・長靴・手袋を着用し、肌の露出を減らす。 • 皮膚の露出部位には、ダニ忌避剤(虫除けスプレー)を外用する。 • 脱いだ上着やタオルは、不要意に地面や草の上に置かない。 • 草の上に座ったり、寝転んだりしない。 • 帰宅後は入浴し、脱いだ衣類はすぐに洗濯する。
日本紅斑熱 • 1984年初めて報告 • マダニが媒介するRickettsia japonica 感染症 • 年間40-50例報告される • 症状はツツガムシ病に似る • マダニに刺されたら,つぶさずピンセットで除去
Q熱 • リケッチアに近年のCoxiella burnetii感染症 (以前はリケッチアに分類されたが細胞外でも 比較的長期に生存可能であること,遺伝子がレジオネラに近いことから独立) • 人獣共通感染症のひとつで感染力が強く 1個の菌を吸い込んでも発症することがある • 感染者の50%は不顕性感染。2~4週の潜伏期の後、高熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、咽頭痛、全身の倦怠感などのインフルエンザ様症状が出現し、そのうちの20%が肺炎や肝炎の症状を呈するが、1~2週間で改善し、予後は良好(急性のQ熱の死亡率は1~2%) 回復した場合は終生にわたる免疫を獲得する。 • 但し、回復した後に慢性疲労症候群に類似した症状を呈することがある。 5%は慢性Q熱に移行し、慢性肝炎、骨髄炎、心内膜炎をおこすことが多く、予後は不良である。(基礎疾患や合併症がある場合)
クラミジア • 偏性細胞内寄生細菌の一群 • 分類上の位置づけは一定しない • 代謝エネルギー生産系がなく、宿主細胞に依存 種類 感染動物 Chlamydia trachomatis ヒト : トラコーマ,性器クラミジア Chlamydia pecorum ウシ、ヒツジ Chlamydia psittaci ヒト、鳥類 :オウム病クラミジア Chlamydia pneumoniae ヒト :クラミジア肺炎
性器クラミジア • Chlamydia trachomatis 感染症 • 性交, オーラルセックス,キスなどで感染 • 男性の場合は、尿道炎,女性は無症状の場合が多い • 放置しておくと、上行感染により男性の場合は前立腺炎・副睾丸炎,女性の場合は子宮頸管炎・卵管炎,骨盤腹膜炎,肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)を来たすことがある。不妊の原因としても重要であり, 産道感染により、新生児が結膜炎・肺炎を発症することがある。 • クラミジアに感染していると、他の性行為感染症やHIVの感染率が飛躍的に高くなる。 • 診断:抗原(DNA)検出,PCR, 抗体(IgA) • 治療:マクロライド系もしくはニューキノロン系.難治性のものはテトラサイクリン系
Reiter症候群 • クラミジア感染症や赤痢・サルモネラ感染・エルシニア感染などの後に生じる、関節炎・非淋菌性尿道炎・結膜炎を3主徴とする疾患 • 男性に多くHLA-B27陽性者で危険率が高い
オウム病 • Chlamydia psittaci感染症 • 自然宿主は鳥類(糞や羽毛の吸入) • 1~2週間の潜伏期間を経て、突然の発熱、咳(通常は乾性)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状が出現する. • ときに、肝脾腫や比較的徐脈(高熱のわりに脈拍が速くならない)が認められる。胸部X線像ではスリガラス様陰影を呈し、いわゆる異型(非定型)肺炎像を示す。高齢者や治療が遅れた場合などには重症化し、致死的のこともある
C. pneumoniae肺炎 • C. pneumoniae肺炎:急性上気道炎、急性副鼻腔炎、急性気管支炎、また慢性閉塞性肺疾患(COPD)を主とする慢性呼吸器疾患の感染増悪、および肺炎である。 • C. pneumoniaeは市中肺炎の約1 割に関与するが、発症年齢がマイコプラズマ肺炎と異なり、小児のみならず、高齢者にも多い。性差ではやや男性が多い。また、他の細菌との重複感染も少なくない。 • 家族内感染や集団内流行もしばしば見られ、集団発生は小児のみならず高齢者施設でも報告される • 感染既往を示すC. pneumoniae IgG 抗体保有率は小児期に急増し、成人で5~6 割と高い。この抗体には感染防御の機能はなく、抗体保有者も何度でも感染し発症し得る。
マイコプラズマ mycoplasma 自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類される。他の細菌と異なり細胞壁を持たないので、多形態性を示し、ペニシリン、セフェムなどの細胞壁合成阻害の抗菌薬には感受性がない
マイコプラズマ肺炎 Mycoplasma pneumonia • かっては異型肺炎といわれたが、クラミジア肺炎やウイルス性肺炎を含むので最近は使わない • 通年性にみられるが冬季が多い • 年間で感受性人口の5~10%が罹患し、普遍的な疾患である.罹患年齢は小児が多い • 潜伏期は通常2~3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛など。咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、解熱後も長く続く(3~4週間)。 • 特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多い。 • 鼻炎症状は典型的ではないが、幼児ではより頻繁に見られる。嗄声、耳痛、咽頭痛、消化器症状、そして胸痛は約25%で見られ、また、皮疹は6~17%である。喘息様気管支炎を呈することは比較的多く、急性期には40%で喘鳴が認められ、また、3年後に肺機能を評価したところ、対照に比して有意に低下していたという報告もある。 • 昔から「異型肺炎」として、肺炎にしては元気で一般状態も悪くないことが特徴であるとされてきたが、重症肺炎となることもあり、胸水貯留は珍しくない • 合併症として中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など
診断と治療 • 理学的所見では聴診上乾性ラ音が多い。 • 胸部レ線上異常陰影があっても聴診上異常を認めない症例があり、胸部レ線検査が欠かせない。胸部レ線所見ではびまん性のスリガラス様間質性陰影が特徴とされてきたが、実際には多いものではなく、むしろウイルス性、真菌性、クラミジア性のものに多い • マイコプラズマ肺炎確定例では、大葉性肺炎像、肺胞性陰影、間質性陰影、これらの混在など、多様なパターンをとる • 血液検査所見では白血球数は正常もしくは増加し、赤沈は亢進、CRP は中等度以上の陽性を示し、AST 、ALT の上昇を一過性にみとめることも多い。寒冷凝集反応は本疾患のほとんどで陽性に出るが、特異的なものではない。しかしながら、これが高ければマイコプラズマによる可能性が高い • 治療はマクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤
合成抗菌薬で最も頻用 尿路移行,組織移行良好 副作用が少なく経口投与可能 殺菌的に作用 緑膿菌を含む大部分のグラム陰性桿菌および黄色ブドウ球菌を含む多くのグラム陽性球菌に有効だが,嫌気性菌やPseudomonas aeruginosa 以外の緑膿菌属には無効 胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢) 発疹、光線過敏症、中枢神経系副作用がみられることあり ニューキノロン系抗菌薬